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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第二部 原作開始
序章 王都炎上
第十六話 狂猴退場
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パルス暦320年10月16日、俺たち一行はパルスの海都ギランに到着した。準備に手間取ったり、海が荒れてたりしたせいでこの日にまでずれ込んでしまったのだ。まさか、アトロパテネの戦いと同じ日の到着になるなんて、思ってもみなかった。これも必然なのか、運命のイタズラなのか。

さて、俺たちはここで、まずは兵を集めるとしようか。以前も言ったとおり、アルスラーンはギランで三万弱の兵力をここで集めている。俺たちもそれと同程度は集めたい。以前からここにプールしていた資金と、足りなければギラン総督ペラギウスの財産を没収するとしようか。以前、俺たちがギランに来た時あちこちにバラ撒いた怪文書が元で、既にシャガードは海賊の黒幕だったことが明るみに出て失脚している。捕らえられ、王都へ護送される途中、海賊の残党と思しき連中の襲撃に会い、シャガードも流れ矢で死んだそうだ。果たして本当に海賊の残党の仕業だったのかは詳らかではない。ただ、ペラギウスがその事件以降更に羽振りがよくなったのは確かなようだ。ならばそろそろ貯め込んだものを吐き出してもらっても一向に構わないよな。

十一月下旬まで待って、それでも兵数が三万に満たなければ、ギランを発ってペシャワールに向かうとしよう。アルスラーン一行がペシャワールにたどり着く十二月中旬には俺らもそこでアルスラーンを出迎えたいことだしな。

ただ、それより先にいろいろとやってもらいたいことがある。俺はギーヴとラクシュを呼び、仕事を頼んだ。まずは王都エクバターナへ潜入してもらいたいと。ラクシュは俺と離れたくないとか言って大層グズったんだが、大切な仕事で、ギーヴ一人では荷が重いだろうからお前にもお願いしてるんだと噛んで含めるように説明してもゴネにゴネまくる。しまいには、やってくれたらお前のお願いを何でも一つ聞いてやると約束してようやく首を縦に振ってくれた。全く世話のやける奴だ。

アルスラーンは人を殺すことを極端なまでに避けた。だが、最初に一人殺さなかったばかりにそれ以降は、前にも殺さなかったんだから今回も殺すべきではないとなっていったような気が俺にはするのだ。それはこの世界でも同じかもしれない。だから、俺はアルスラーンに他人の生殺与奪の権を委ねない。その前に俺が片っ端から殺すべきやつは殺す。まず手始めにあいつからだ。何度もうまうまと逃げ延びやがったあいつを俺たちの手で殺すには今この機会しか無いからな。

◇◇

パルス暦320年10月25日、ようやくパルスの王都エクバターナへとたどり着き、包囲を開始した我々ルシタニア軍だったが、想像以上に堅固な城壁を前に立ちすくまざるを得なかった。

「何と言う見事な城壁、エクバターナとはこれ程のものであったのか…」

俺、モンフェラートは神の使徒たるルシタニア騎士にあるまじきことながら、異教
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