第四十五話 二学期になってその十六
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「私はそこは譲れないの」
「偏差値が問題じゃないんですね」
「そうよ、おかしいかしら」
「僕ずっとおみちに関係ない人生でしたから」
阿波野君は首を傾げさせて不思議そうなお顔で言いました。
「偏差値のいい大学にって」
「出来る限りっていうのね」
「高校もそんな感じで決まったところありますし」
「天高に」
「そうなんです、奈良県に住んでて偏差値が丁度だったんです」
天理高校に入られる位だったというのです。
「それで受験して合格して」
「今ここにいるの」
「そうなんです」
「じゃあ大学もなの?」
「偏差値の高い大学をって考えてました」
そうだというのです。
「実は」
「そうなの」
「はい、ですが資格というかそちらを専門に学ぶ為の進学ですね」
「私の場合はね」
「そうした進路の選び方もあるんですね」
「そうよ、人それぞれだから」
そこはとです、阿波野君にお話しました。
「阿波野君も何か資格を手に入れて将来に活かしたいなら」
「そちらの進路を選んでもいいですね」
「そうしたことも考えておいてね」
「わかりました、じゃあ」
阿波野君は私の言葉を聞いてこうも言いました。
「教会長さんの資格手に入れますね」
「それ前も言ったわね」
「考えてみれば先輩と一緒ですね」
「そうだけれど何で会長さんなの?」
このことが私にはどうしてもわかりませんでした。
「そもそも」
「いえ、頑張ってふせ込んで成人して」
そうしてというのです。
「立派な会長さんになろうって思いまして」
「事情教会を継がせてもらうの?それか」
ふとこのことも思いました、天理教の教会ではよくあることです。
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