第五十六話
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第五十六話 郵便局員の苦悩
カーミラは今田先生と今日子先生に手紙を送った、だが郵便局の人達はカーミラのその手紙を見て言い合った。
「この手紙は」
「一体何語で書いてあるんだ?」
「日本語じゃないぞ」
「アルファベットなのはわかるが」
「崩し字だからな」
カーミラはそうした字でしかも横書きで書いていたのだ、封筒も西洋のものであるから余計に日本人から見れば見慣れないものだ。
「日本にいる外国の人が書いたんだな」
「ええと、神戸って書いてあるな」
「アルファベットで」
「そうだよな」
このことはわかった、だが。
封筒の表の文章を見てもどうにもだった。
「英語じゃないな」
「ええと、ドイツ語か?」
「そうみたいだな」
「ドイツ語で神戸って書いてるな」
「神戸在住のドイツ人が書いたのか」
「同じ神戸の人に」
「そうみたいだな」
じっくりと何人かで読んでやっとわかった。
それでだ、郵便局の人達は言い合った。
「それじゃあな」
「今からこの住所の人のところに送るか」
「あれっ、今田さんって」
「あの神戸一の魔女の今田さんか」
「今田香織さんか」
すぐに宛て先は今田先生だとわかった、今田先生は神戸ではかなりの有名人で郵便局の人達も知っているのだ。
「よし、じゃあな」
「今田先生のお家に送るか」
「プライバシーは保護してな」
「そのうえでな」
郵便局の人の中には今田先生の住所を知っている人もいたがプライバシーのことはしっかりと守ってだった。
今田先生の家にカーミラの手紙を送った、そこまでしてだった。
彼等は笑顔でだ、こう言い合った。
「いやあ、ドイツ語の手紙なんてな」
「最初はびっくりしたけれどな」
「何て書いてあるかわかってよかった」
「それで送れてな」
「今田先生には会えなかったけれど」
今田先生は美人としても有名で会えれば運がいいと言われているのだ。
「それでも仕事は果たせた」
「これからも頑張っていこうな」
「そうしていこうな」
こう話しながら今日も仕事に励む、日本の郵便局の人達は勤勉だがそれは神戸の郵便局の人達も同じなのである。
第五十六話 完
2018・5・30
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