別伝 キルヒアイスとアンネローゼの最後 後編
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アンネローゼが心配そうに聞いてくる。
「良いのじゃ、妾1人が悪行、未来永劫残ろうとも、
僅かの犠牲で数千万の内乱における犠牲者が救えるのじゃ。
妾の名誉など塵芥よ」
アンネローゼがそれを聞いて涙ぐむ。
キルヒアイスも絶句する、この方は何という方なのだろうと。
「だがな、それは前夜のシェーンヴェルト元帥府襲撃で潰え、
そのまま内乱に突入してしまった。
此ほどシェーンヴェルトとオーベルシュタインを怨んだことはないぞ」
「お待ち下さい、ラインハルト様は襲撃されたのですから、
悪いのはブラウンシュヴァイク公の周辺の者でしょう」
「キルヒアイス、やはりそちは知らなんだな。
あの襲撃は、オーベルシュタインが行わせたのじゃぞ」
「まさか」
「そのまさかよ、ブラウンシュヴァイクの家臣ハウプトマンがシュトライトとフェルナーを嗾けて襲撃をさせたのじゃ、しかしな奴はオーベルシュタインの犬ぞ」
衝撃の事実にキルヒアイスは愕然とする。
確かに、テレーゼの策を行えば、悪名は残るが門閥貴族を潰し改革が成功しただろう。
内乱に比べて遙かに少ない流血で。
それをオーベルシュタインが潰した。
ラインハルト様は何処までご承知なのだろうか、それが気になった。
アンネローゼは、弟が恐ろしいことをしていたと益々嘆くのである。
弟の権力欲で数千万の人々が不幸に成ったのである。
此ほどアンネローゼの心を掻きむしる事は無いだろう、
そして弟に対する愛情が薄れ、険悪感が沸き上がるのを感じ始めていた。
「そしてヴェスターランド核攻撃の事じゃ、
撃ったブラウンシュヴァイク公も悪いが、
敢えて傍観し権力掌握に使ったシェーンヴェルトも悪いのじゃ」
「しかし殿下もそれを阻止できなかっのではありませんか?」
些か屁理屈を言ってしまう、キルヒアイス。
まだラインハルトを信じたい気持ちがあるのだ。
「そうよの、妾もガイエスブルグに間諜を仕込んでおって、
ブラウンシュヴァイクの核攻撃の情報は得ていた」
「では知っていながら敢えて無視を為さったのですか?」
キルイアイスが厳しく問う。
「勘違いするな、その様な事するわけが無かろう。
妾は情報を受けて直ぐに、ミュラーを遣わしたのじゃ。
そしてミュラーはヴェスターランドへ到着し待機したのじゃ」
「しかしそれで何故核攻撃が起こったのです?」
「それよ、ミュラーは見事にブラウンシュヴァイクの攻撃を防いだのじゃ」
「攻撃を防いでいるのに、何故核攻撃があるのですか?」
キルヒアイスは気がつかないらしい。
「妾はブラウンシュヴァイクの攻撃は防いだと申したのじゃ」
「それは」
混乱するキルヒアイス、ブラウンシュヴァイクの攻撃は防いだと言う事は、
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