別伝 キルヒアイスとアンネローゼの最後 後編
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「小さき者よ、オーディンの元へ向かうのだ、我が案内いたす」
「私たちは死んだのですか?」
アンネローゼの方が年増なだけ冷静である。
「アンネローゼ様、その様な事を」
キルヒアイスは死に対して敏感になっている。
「その通りだ。此処は生と死の狭間、お主たちは死を迎えヴァルハラへ向かうのだ」
「そんな事あるわけがない!」
キルヒアイスは現実から目を反らそうとしていた。
「アルヴィトさん、ジークとヴァルハラでも一緒に居られるのですか?」
アンネローゼは既に現世よりヴァルハラでの事を考えていた。
「アンネローゼよ、キルヒアイスと共に暮らすことは可能だ」
「アンネローゼ様、共に暮らすとは」
「ジーク、そのままの意味ですよ、現世では共に暮らせませんでしたが、
ヴァルハラでは2人で暮らしましょう永遠に」
「アンネローゼ様、アンネローゼ様、アンネローゼ様」
泣き出すキルイアイスを抱きしめるアンネローゼ。
「そろそろ良いか、時間だ」
「はい、さあジーク参りましょう」
こうゆう時女は強い。
「はい。アンネローゼ様」
アンネローゼに付いていくキルヒアイスはまるで犬である。
真っ白な廊下を歩くと突き当たりに重厚な扉が有り、その扉が音もなく開く。
アルヴィトが此処へ入れるようにと示す。
「この扉から中へ入るように」
怖々とアンネローゼとキルヒアイスは手をギュッと握り合って部屋に入る。
部屋はまるで法廷のようであり、目の前の裁判長席に1人の女性が座っている。
その姿は、全身を真っ黒なフードとマントを纏った死神のように見えた。
「お主等が罪人《トガビト》、アンネローゼ・フォン・グリューネワルトと
ジークフリート・フォン・キルヒアイスじゃな」
罪人の声にキルヒアイスが顔色を変える。
「アンネローゼ様は罪人じゃない」
「フ、激高するでない、此処は生と死の狭間、妾はヘルじゃ」
「ヘルの言葉に、固まる2人」
オーディンにより、ヘルは、名誉ある戦死者を除く、
たとえば疾病や老衰で死んだ者達や悪人の魂を送り込み、
彼女に死者を支配する役目を与えたのだ。
つまり自分たちは悪人なのかと、そして騙されたと感じた。
キルヒアイスは確かに自分は、ラインハルト様のヴェスターランドの虐殺を止められなかった。
それだけでも悪人だ、しかしアンネローゼ様はそうじゃないと叫びたかった。
アンネローゼは自分の罪深さをヒシヒシと感じており、
ラインハルトの悪行を助長したのが自分であると考えており、
自分たち姉弟に巻き込んでしまった、
ジークとジークの両親に対してにいくら謝っても過ぎないと考えていた。
シーンとする法廷。遂に審判がくだる。
「ジークフリート・フォン・キルヒ
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