第七幕その三
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そして特にです、ナターシャが言いました。
「匂いもいいし」
「河豚自体の?」
「ええ、オリーブやワインの匂いとも合わさってね」
そうしてというのです。
「とてもいい匂いよ」
「そうね、あたしもわかるわ」
ガラスの猫はお鼻をくんくんとさせてナターシャに応えました。
「確かにね」
「いい匂いよね」
「とてもね」
実際にというのです。
「そうよね」
「ええ、ただね」
「貴女はね」
「食べないからね」
その身体の仕組みからそうなのです。
「味わうことはしないわ」
「出来ないっていうか」
「もう興味がないの」
食べること自体にというのです。
「同じ猫でもエリカとは違ってね」
「エリカは普通の身体だからね」
「そう、あたしはガラスだから」
その透き通った奇麗な身体で言うのでした。
「だからね」
「食べることはしないで」
「そう、それでね」
そのうえでというのです。
「匂いだけを楽しむわ」
「それが貴女の食事の楽しみ方ね」
「それとあんた達が食べて楽しむ笑顔を見てね」
「楽しむのね」
「心の栄養にさせてもらうわ」
「心のなのね」
「そうよ」
まさにというのです。
「そうさせてもらうわ」
「そういうことよね」
「ええ、ただあたしが意識を持った頃は」
ガラスの猫はつぎはぎ娘と一緒にそうなった時のことを思い出しました、今となっては遠い昔の懐かしい思い出です。
「オズの国では誰も河豚は食べなかったわ」
「ええ、そうよね」
「お魚自体あまり食べなくて」
「河豚なんてね」
「そんなお魚存在の時点でね」
食べるどころかというのです。
「いるなんてね」
「知らなかったのね」
「そうよ、それで最初見て思ったことは」
「何だったの?」
「不格好なお魚だってね」
「思ったのね」
「あと食べてもこれはね」
食べられなくても言うガラスの猫でした。
「どうにもってね」
「美味しくないってよね」
「思ったわ」
こう想像したというのです。
「本当に」
「確かに見てると美味しくなさそうよね」
ナターシャもこのことは同意でした。
「しかも毒もあるし」
「外の世界ではね」
「それで食べるとか」
「訳がわからなかったわ、他にもお魚はあるのに」
食べられるそれがです。
「こんなの食べてどうするのって」
「日本だけじゃなくて中国でも食べていたんだよ」
神宝はガラスの猫にこのことをお話しました、その河豚のアクアパッツァをとても美味しく食べながらです。
「唐代や宋代にはね」
「食べると下手したら死ぬのに」
「それだけ美味しいってことだね」
ジョージはこう納得しました。
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