ティオスと天海
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ラスの兵隊やその幹部たちも歯が立たず瞬く間に殺める彼の力はまさしく最強と言えた。
だが、それゆえに彼はこの人生に魅力を感じられずにいた。
そんな時だった、あの声が聞こえたのは。
『君がこの世界の俺か?』
「!?誰だ!?」
脳内に直接響いてくる声の主を探すがどこにもいない。声は困惑している天海にさらに続ける。
『俺は別の世界の君だ、名をヴァッサボーネという。
君に頼みがあって声をかけた』
「頼みだと?」
話を聞くと、ヴァッサボーネには一人の子供がおり、彼に自身が隠した魔水晶と秘術を教えてほしいこと。それを頼んだヴァッサボーネ。最初は天海は乗り気じゃなかった。断るつもりだった。しかし、ある言葉でその考えは180度変わった。
『俺の息子はそれがあれば強くなれる。君をも倒せるほどに』
自分より強いものがいないこの世界に飽き飽きしていた天海はその言葉に食い付いた。ヴァッサボーネから言われた通りの方法でアースランドへやって来た天海は、早々に魔水晶を見つけ、あとはヴァッサボーネの息子を探すだけになった。
なかなか見つけられずにいた天海。そんな彼の元に現れた一人の少年。
「俺にその魔水晶を譲ってくれないか?」
深紅の髪をした彼の目を見た瞬間、天海は確信を持った。この男にこれを渡せば強くなる。そして返しに来させれば、その時こいつと戦うことができる。
そう考えた天海はその少年に魔水晶を与えたが、約束の日に彼はそこに現れなかった。
「死んだか」
内心ガッカリしていた天海は自分と似たようにエドラスの世界から来たと思われる女性にヴァッサボーネから託された魔法書を手渡し異国へと渡った。彼は様々な国を渡り、名の知れた戦士と戦ってきたがどれも彼の前には歯が立たず。またしても生きる意味を失いつつあった。
そんな時だった・・・
「やぁ、やっと会えたね、天海」
師匠の敵討ちにやって来た師範代たちを数秒で虐殺した直後、上から聞こえてきた声に顔を上げた。そこには巨大な岩に座る足元まである水色の髪をした少年が座っていた。
(なんだ?こいつは・・・)
これまで天海はその感情を感じたことがなかった。自分を見下ろしている少女とも少年とも判断できない謎の存在に彼は生まれて始めてその感情を抱いた。
(まるでこの世のものではないかのような・・・その目はなんだ?)
生きているのか死んでいるのか、天海に何を求めているのかも読み取らせないその異様な佇まい。余裕さえ感じさせるその姿に、天海は恐怖を感じていた。
「・・・貴様は俺を知っているのか?」
その問いがやっとだった。彼が何者かよりも、なぜ自分のことを知っているのか、その方が彼には知りたい事
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