ティオスと天海
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いているのがその一族なのだ。彼らは戦いを好む。故に、エドラスから統一を避けたい国や街は彼らに頼み、エドラス軍を撃退しているのだ。
「まだ手のかかる子供のうちに始末できれば・・・」
あわよくばチャンスがあるかもしれない。そう思っていた。だが、それを叶えられるほど生易しくはなかった。
ドンドンドン
青藍家に子供が生まれて5年・・・状況は進歩することなどなかった。いや、むしろ悪化の一途を辿っていた。
「あれが天海くんか」
「まだ5歳だろ?なんて力なんだ」
眠たげな目をした少年の名は天海。彼は魔法を駆使して戦う王国兵を丸腰で、さらには片手で難なく殺してしまった。
「さすが我が子だ、天海」
その姿に拍手を送るのは天海の父、海宝。彼は日に日に成長していく息子に喜びを覚えていた。
「天海、お前は将来どうなりたい?」
父のように強くなりたい、そう答えてくれると思っていた。だが、返ってきたのはそれをも上回る答え。
「この世界で、一番強い存在」
無表情のまま淡々と答える彼の姿に思わず息を飲む。その目はいずれ自らも越えていこうとしているのがありありと見えた。
「・・・そうか、頑張れよ」
小さくうなずく少年の姿に微笑ましさを感じることはなかった。ただひたすらに、“恐怖”の二文字が脳裏を過る。そしてそれはほどなくして、現実のものになった。
「天海・・・これはどういうことだ?」
海宝は道場を作り多くの人々に自身の武術を教えていた。その道場でその日、惨劇が怒っていた。
「父上、俺はもうあなたの力も越えてしまった」
海宝の次に道場で強いとされている師範代を片手で突き殺している天海。血まみれの彼の姿に、門下生たちは涙目で震えていた。
「だからもうここはいらない。だから消し去るんだ、今ここで」
「貴様・・・」
その瞬間、父の顔は鬼のそれへと変わった。
「こんなことをして、生きて帰れると思うなよ!!」
その言葉と共に天海へと突進する海宝。彼の拳が実の息子の腹部を捉えるよりも先に・・・
グサッ
天海の蹴りが彼の体を切り裂いた。
「「「「「師匠!!」」」」」
絶対に起きてはいけない惨劇に絶叫する門下生たち。天海は倒れた父の姿を蔑むような目で見ながら、怯える門下生たちを一瞥してその場を後にした。
「飽きたな、この人生にも」
それからさらに数年もすると、天海は一般成人ほどの背丈になっていた。そんな彼はエドラスにおいて無敵を誇っていた。エド
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