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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 5
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そんな時までズレてなかったの!?」
 「はい。全く、少しも、ズレてなかったんです」
 「い、いくら私達が手伝ってるからって……これは……」
 聖天女様が言葉を失うのも当然だわ。
 一週間よ? 一週間。
 一週間ともなれば、普通は何処かで多少なりとも行動やそれに掛かる時間が変わってたっておかしくない筈なのに、アーさんは行動にも時間にも(ほとん)ど変化が無い。時間に至っては変化のへの字も無い。
 下拵(したごしら)えとか機材の運び出しとか後片付けだって相応の量があるのに、聖天女様に食事を振舞うのと街民数百だか数千だかを対象に炊き出しを用意するのとで全く同じ時間しか使ってないって、いったいどういうことなの?
 「明らかに異常、ですよね。人間がよく口にする「規則正しい生活」の域を逸脱してます」
 「逸脱と言うより、規則正しい生活の不動軸になってる感じね。こんなお手本、実践されたって神でも真似できないわよ」
 「私達(せいれい)にもできません。しかもアーさんは、こんな風に目に見える形で比較するまで、同居状態の聖天女様にさえ気付かせないほど完璧に、自然に、当たり前のように過ごしてたんですよ? だからどうなんだって話ではありますが、アーさんの自然すぎる不自然さがちょっと不気味です」
 「不気味とまでは言わないけど……そうね。特異な生活をしてるんだなぁとは思うわね。ありがとう」
 「いえ」
 テーブルにそっと戻された紙の内容を隠す形で二つに折って、ペン立ての下に差し込む。
 私専用にって筆記具をくれた時、見られたくない内容はこうやって隠してください。そうしていただければ絶対に確認しませんのでって言われたから、これで少なくともアーさんにこの記録を知られる心配は無い。
 「でも、どうしていきなりアーレストさんの行動を比較してみようなんて思ったの?」
 泉へ向かうらしい聖天女様の右肩にひらりと翔び移ったところで、柔らかい指先に頭を撫でられつつ問い掛けられた。
 「二週間くらい前、聖天女様が「アーレストさんって、何時頃に起きてるのかしら?」って仰っていたのは覚えてますか?」
 「ええ。私達は毎日夜明けより早く起きてるのに、アーレストさんも常に私達より早く起きて活動してるから、人間にしては早すぎるんじゃないかって不思議に思ったのよね」
 「私も、聖天女様の言葉を聞いてから同じ疑問を持ってしまって……その日の深夜、眠ってるアーさんを観察してみようと執務室にこっそり侵入したんです。即刻見付かってしまいましたが」
 寝室にはベッドが二台置いてあるんだけど、女性と同じ部屋で眠る訳にはいかないからって、アーさんは一人分の枕と掛け布団を執務室へ持ち込んで私達とは寝場所を分けてる。此処、べゼドラにも見習ってほしい紳士ぶりだわ。
 「ああ、アーレストさんは気
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