362部分:第二十七話 護るものその五
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第二十七話 護るものその五
それでだ。月美はそれはあえて言わないのだった。
「それでもね」
「怖いのね」
「凄く怖いから」
月美はこのことは強調した。それは確かだというのだ。
「期待していいわ」
「わかった。じゃあ読んでみる」
「ポーだと他には」
月美はあらすじは言わないが作品はあえて出すのだった。これも椎名への気遣いである。それをそのままに話をするのだった。
「アッシャー家の崩壊なんかが」
「それもいいのね」
「凄く怖いの」
それもだというのだ。
「だから。読むとなればね」
「楽しみにしておいてってことね」
「怖いお話がいいのなら」
「わかった。それも読んでみる」
こんな話をする二人だった。そしてだ。
そんな二人を見てだ。三人はクラスの端で忌々しげな顔をしていた。そこには星華もいた。合わせて四人であった。
まずは野上が言った。
「何だってのよ」
「そうよね」
「全く」
州脇と橋口が彼女に続く。
「来たらもういるし」
「折角私達が仕掛けようと思ったのにね」
「それでいるなんて」
「何もできないじゃない」
こう言って忌々しげな顔で彼女を見るのだった。
「教科書やノートがなくてもね」
「ロッカーとか机に悪戯してやったのに」
「それでもあいつがいたらね」
こう言ってのことだった。
「全く。何だってのよ」
「何でいるのよ」
「全くね」
「そうよね。これじゃあ」
ここでだ。星華も言ってきたのだった。顔は三人と同じものになっている。
「あいつに何もできなくて」
「音をあげさせて学校に来れなくして」
「それでその間に星華ちゃんが斉宮ゲットすることができないじゃない」
「そうよそうよ」
「忌々しいったらありゃしないわ」
星華は眉を顰めさせて述べた。
「あいつがいるだけで何もできないから」
「ねえ星華ちゃん」
橋口もまた眉を顰めさせる。そのうえで星華に言ってきたのである。
「それでね」
「それで?」
「今は諦めるしかないけれど」
それは仕方ないというのだ。ここでは割り切っていた。
しかしだ。その言葉に嫌悪を篭らせてだ。橋口はさらに言うのだった。
「それでもこれからはよね」
「ええ、そうよ」
すぐにだった。星華は答えた。
「絶対にね。こうなったらね」
「あいつに何をしてでも」
「斉宮は私のものよ」
既にそうなっているというのである。強い言葉だった。だがそこには幾分か自分に言い聞かせているものがあった。それは確かだった。
その言葉でだ。星華はさらに言うのだった。
「それでね」
「ええ、それでね」
「出し抜くには本当に」
意を決した顔で言うのだった。
「どんなことでもするから」
「そうよ。あんな奴に負けない
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