戦い前に〜それぞれの理由〜
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れか、本来の性格によるものか。
あの時に見た教頭は、そして、教頭のままであった。
微動にせず、ただモニターを見続けている。
そこに安心を与える感情や言葉はない。
ただ、いつものように見ている。
それを見て、幾人かが視線を前へと戻した。
スレイヤー少将か。
士官学校の教頭であり、ビュコックと同様に兵卒からこの地位までたどり着いた名将。
白髪交じりの髪を撫でつけて、姿勢正しく前を見つめる。
まごうことなき名将であろう。実際にわずか一年ばかりの同盟軍生活でもスレイヤー少将の話を聞く機会は多い。カプチェランカでもクラナフ大佐を始めとして、褒める言葉以外は聞かなかった。数多い現場の人間の中で、少将まで階級を上げた人間は、ビュコック同様に英雄扱いをされたのだろう。実際にスレイヤーはその実力があるのだと、アレスは思う。通常であれば将官まで兵卒の人間があがることはない。
単純にその分野で優秀な人間は多いだろう。
だが、将官となればその分野というわけではいかなくなる。
むろん、アレスと同じように士官学校であれば話は別だろう。
仲の良い上を捕まえれば、それがかない、そして、それが可能である環境がそろっている。
だが、兵卒あがりであれば、仲が良いものもいない。
そんな場所に配属され、常にトップレベルの評価を受ける。
決して楽なものではない。と、言うよりも途中で楽な場所ができれば、その分野で行きたいと思うであろうし、階級をあげれば、それを望めば可能となるのだ。あえて、自分のわからぬところに異動し、そこで力を認められる。
原作まで生きていれば、間違いなく艦隊司令官に立つ人物。
いまだに動かぬスレイヤーから視線を移せば、そこには砲術士官がいる。
ケイン・ローバイク大尉。
大会で四学年だった先輩は、今は同階級となって最前線の砲手を任されている。
アレスがこの艦隊に来た時には、無表情に挨拶をしただけにもかかわらず、細かに艦隊のことを教えてくれた先輩。堅実さと実力を兼ね備え、確実である戦闘には間違いなく百パーセントの力を発揮する優秀な兵士だ。
視線を彷徨わせると、手を振る若い女性がいた。
ミシェル・コーネリア大尉。
航宙士官という立場ながら、この艦隊の動きを統率する女性だ。
二十三歳と若くもありながら、艦隊運用にかけてはいまだにアレスは彼女よりも上の存在を知らない。戦闘前で一瞬しか見ていないが、彼女はアレスのことを覚えていてくれたようだ。視線が会うたびに、手を振っている。そういえば、テイスティアが卒業する前にシミュレート大会の時の全員で集まろうという話になったときに、最後まであきらめなかったのが彼女だった。
いや、全員極秘任務についているのに無理だろうとはア
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