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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
第三章 神前決闘編
第十三話 神前決闘
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これでは棒術の棒として使うことも出来ぬな。私は手元に残った柄を背後へと放り投げた。

神前決闘が始まって最初の内は私が押していたのだ。ラジェンドラの武器は剣だが、私は得意の槍。間合いではこちらの方が勝るからな。だが、何度めかの突きをあいつは紙一重で躱し、脇に私の槍の柄を挟んで固定し、気合一閃斬り落としたという訳だ。

距離を取り、半身に構えた私をラジェンドラが油断なく見据える。手首、足首、懐と、目線が私の体の各所に向けられるのが判る。私の暗器が何処にあるのかを探しているのだろう。しかし、見当たらないと見たのか、ニンマリと口の端を上げた。

「兄上、暗器を使うということだったが、どうやらハッタリだったようですな。もう何も持ってはおられぬようだ。潔く負けを認めては如何ですかな?」

口調には冷笑の響きがある。最早自分の勝利は動かないと確信したか。

「何を言っているのだ、お前は。暗器ならあるさ。ほら、ここにな!」

私は帯を勢いよく腰から抜き放った。そして、その帯の先端はふわりと地に落ちたりせずに、じゃらりと音を立てた。信じられないものを見たかのように硬直している弟の前で、私は殊更ゆっくりと帯に仕込んであった2ガズ(2m)ほどの長さの鎖(先端に分銅付き)を取り出した。

「鉄の鎖…。ナバタイ国の鉄鎖術か!馬鹿な、そんなのを習得してたなんて、諜者からも聞いたことが無いぞ!」

「馬鹿か、お前は。諜者が全てをお前に報告していると思っていたのか?お前は何度言っても判っていないのだな。諜者はお前ではなく、この国に仕えているのだ。当然お前には取捨選択された上で伝えられる事になる。これなどはその最たるものだな」

勿論、それがすべて真実と言うわけではない。確かに頭領のカルナを始め大半の諜者はラジェンドラではなく国に忠誠を誓っている。だが、弟が命じて拾ってこられたと言うパリザード、レイラ、フィトナの三人の娘、それとごく少数などは、自分たちは王とラジェンドラ殿下のみに従う。まだ即位していない貴方に従ういわれは無いと明言し、弟の乳兄妹のラクシュに至っては「私はラジェンドラ殿下だけの為の弓。他の誰かが私を使うなんて真っ平御免さー!」と言い放ち、母親のカルナに頭を抱えさせたものだった。だが、そんな真実は教えてはやらん。少なくとも今この瞬間にはな。

ナバタイ国の鉄鎖術は手枷をはめられ鎖で繋がれた黒人奴隷が、主人の虐待に耐えかね抵抗するために生み出したと言われている。故に元々分銅なんてものはついていなかった。だが、それだと鎖は何処まで行っても鎖。しょせんはありあわせの武器でしか無く、他のどの武器よりも取り回しに劣るのだ。どれだけ練習しても上達しないことに業を煮やした私はある日、「そうだ、先端に重りをつければ鞭の様な感覚で使えるのではないか!」と思
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