04.猫達DEデスゲーム。
第19回 レン、悲しい兄妹
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「あ、そろそろ起きるみたいだから、準備しておいてね」
首領が言う。結果は琴葉さんと葉月さんの勝利だった。
僕達敗者組は、ゲームが行われた世界から出て、現実世界に戻ってきた。別に、ゲームの世界で死んだら、現実世界でも死ぬと言う事ではなかったらしい。
「……んっ………あ、戻ってきたんだ」
「くぁ………何か、体が重い」
琴葉さんと葉月さんが、ほぼ同時に体を起こす。
「………ジー」
「………ジー」
「………ジー」
「如何為たの? レン、リサ、ユリ」
じーっと2人を見詰める僕達を見て、琴葉さんは言う。
「あの、お2人って凄く似ていますね………と」
すると、今度は琴葉さんと葉月さん同士で見詰め合い………と言うか、睨み合う。そして。
「「誰がこんな奴と似てるんだよ!! ………真似すんな!!」」
同時に叫ぶ。
「大体、何処が似てるって言うのよ! 葉月は白猫で、私は黒猫! そもそも、此奴は男で、私は女! あとは………」
息詰まる琴葉さん。それを見て、首領が言った。
「じゃあ逆に、似ているところを言ってあげるよ。2人とも黒い髪で、毛先が白い。目も黒くて、綺麗で透き通った色をしている。2人とも組織の幹部である。能力を持っていて、それを完全に理解し、使い熟している。とても強く、部下を大事にしている。未だ未だあるけど、聞くかい?」
掛けてあった毛布を握り締め、俯く琴葉さん。
「いいかい? 君達は兄妹だ。確かに、今は敵対する組織に所属し、幹部を担っている。だから、君達が敵対するのも無理は無い。だけど、君達は本当にそれで良いのかい? 君達は何時死んでしまうか分からない。お互いを憎み合ったまま死んでしまうかもしれない。それで良いのかい?」
肩が細かく揺れ、毛布に水滴が落ちる。
「話は少し変わるが、君達は単体でも十分強い。敵う相手は直に居なくなる。だけど、第3の巨大組織が、白猫と黒猫の両方を攻撃して来たとしたら。そして、その組織にどちらかの組織が勝負を挑んで、勝てなかったとしたら? 勝てるのは君達2人が共に戦ったときだけだ」
「分かってますよ……そんな事、とっくに」
「気付かない訳ねぇだろ……」
2人が口を開く。唇をきつく噛み、涙を堪えている。
「敵になった以上、組織という壁を超える事は出来ない。私達が幹部であるなら尚更。だから分かりたくなかったんですよ。これ以上、近付きたくなかった。早く昔の事何て、忘れてしまいたかった。……けど、矢っ張り無理なんですよ。忘れてしまうと思うと怖くなって、記憶を消すことが出来ない」
「同じだ。全て、すべて」
ふとあげられた顔に、一筋の涙が零れる。
そして、無垢な瞳を首領に向けて、
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