第六十四話 あやかしその三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「好きです」
「名古屋っちゃな」
「実は他にもきし麺や味噌カツや味噌煮込みうどんも」
「ういろうもっちゃな」
「好きです」
「そうだったちゃか」
「こちらの世界の名古屋に行かれましたね」
紅葉は愛実に微笑み問うた。
「いい場所でしたね」
「そう言えるってことは」
「私も伊勢に入る前に立ち寄っています」
「そうだったっちゃか」
「それで名古屋料理を満喫しました」
そうしていたとだ、紅葉は愛実に笑顔で話した。
「やっぱり名古屋は美味しいですね」
「食文化はかなり豊かっちゃ」
「鶏肉も美味しくて」
「そうっちゃな」
「ドラゴンズは弱いですが」
このことは少し陰を見せて言う紅葉だった。
「ここ数年は」
「そこでそれ言うっちゃ?」
「祖母がいつもやれやれと言っています」
名古屋生まれの彼女がというのだ。
「十年前はよかったのにと」
「それは監督交代のせいっちゃな」
「落合さんをですね」
「無理に交代させたからっちゃ」
フロントの者が現役時代中日にいたことがあるとはいえトレードで入った即ち外様である彼を嫌ってそうしたという。
「だからっちゃよ」
「そのせいですね、やはり」
「その後でゼネラルマネージャーになった落合さんのチーム運営も問題だったっちゃか?」
「あの急激な変革は」
「確かに選手の年俸の分だけお金は出来たっちゃが」
ベテラン選手に大幅減俸を行ってだ。
「それでも若手が出なかったっちゃからな」
「そのせいで、ですね」
「ああなったっちゃか」
「思う様にいかないですね」
「そうっちゃな、まあそのうちっちゃ」
「元の中日に戻るでしょうか」
落合が監督だった頃にとだ、紅葉は期待して言った。
「そうなるでしょうか」
「阪神でもそうなったっちゃ」
かつて長い暗黒時代にあったこのチームもというのだ。
「だからっちゃ」
「中日もですか」
「また戻ることもあるっちゃ。栄枯盛衰は野球でもっちゃ」
この世界でも言えることだというのだ。
「だからっちゃ」
「また強くなりますか」
「ずっと強いチームなんてないっちゃ」
栄枯盛衰は世の常だ、そうしたチームなぞ存在しないというのだ。
「強い時も弱い時もあるっちゃ」
「それが世の摂理ですね」
「ただ巨人はっちゃ」
「あのままですね」
「最下位であり続けて欲しい」
「私もそう思います」
「今十年連続最下位っちゃが」
勝率一割台シーズン百敗でだ。
「あのままっちゃ」
「未来永劫弱いままですね」
「それでこそいいっちゃ」
巨人は弱くあればいい、これは全世界の心ある者達が望むことだ。それ以上に巨人が無様に負けることがいいのだ。
「巨人には無様な負けがよく似合うっちゃ」
「全く以てそうですね」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ