第5章:幽世と魔導師
第168話「その身が至るは―――」
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の流れが、時間が進むかのように当たり前に見えた。
「……嘘、あれって……」
その様子を、ようやく現場に辿り着いた緋雪が見ていた。
相変わらず体には傷が残り、常人ならば戦闘は不可能な傷を負っていた。
それでも戦おうとして、優輝が戦闘しているのを見つけたのだ。
「まさか、あれが……?」
緋雪の脳裏に過るのは、在りし日の記憶。
互いにシュネーとムートであった時の、懐かしき記憶。
―――「……聞けば聞くほど、導王流って凄いね」
―――「まぁ、ね。……でも、まだ完璧じゃない」
―――「完璧じゃない?」
―――「ああ。……導王流は、まだ“極意”に至れていない」
「……導王流の、“極意”。終ぞ極める事のなかった、“全ての攻撃を導く”業」
呆然と、だが、何かが沸き上がるような面持ちで緋雪は戦闘を見続ける。
「……凄い。凄いよお兄ちゃん!!それが……それが導王流の本気なんだね!?」
緋雪の心中は、驚きよりも歓喜が占めていた。
まるで我が事のように。恋する乙女のように。
「見届けなきゃ、この戦いを……!」
だからこそ、緋雪はこの戦いを一瞬たりとも見逃さないと、目を離さなかった。
「ふっ……!」
「っ、っ……!」
キキキィイン!!
斬撃が悉く受け流されるのを理解し、守護者は霊術も織り交ぜる。
だが、それすら優輝は逸らし、受け流す。
リヒトが使えなくなっている今、そんな事をすれば拳がタダでは済まない。
しかし、優輝の拳は確かに傷は負っていたものの、明らかに反動が軽かった。
〈(導標の神力を負担がかからない程度に拳に纏わせる……なるほど、こうすれば私を使った時よりも防御力が高いですね……)〉
その理由を、リヒトは冷静に分析していた。
緋雪と同じく、リヒトも付き合いが長いため、優輝が“極意”に至った事を理解していた。そのため、不用意に自身がサポートするのは危険だと判断し、分析に徹していたのだ。
「ッ……!?」
ボッ……!
先ほどまでと違い、凌ぐだけの攻防ではない。
そのため、優輝は自ら守護者へと間合いを詰める。
それに対し振るわれる守護者の攻撃だが、その悉くが受け流される。
咄嗟に守護者が身を捻ると、寸前まで胴があった場所を優輝のカウンターである掌底が穿っていた。
「な、なんて動きなの……!?まるで木の葉……いえ、羽毛を相手にしているかのよう……!それでいて、的確に反撃を……!?」
その様子を、緋雪だけでなく鈴達も見ていた。
そして、優輝の動きを見て武術
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