第八章
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「それで死ぬことも多いですね」
「そうだよ、それでな」
「その時に死ぬ奴も多くて」
「バロアみたいな奴に襲われてもな」
あの様な凶悪な同業者達にというのだ。
「死ぬってこともあるしな」
「その時は皆殺しですね」
「そして酒で死ぬ奴もいる」
キヨの様にというのだ。
「あと女から変な病貰ってだ」
「それで死ぬ奴もいますか」
「もう御前みたいな歳の奴がどんどん死んでいくんだ」
「そういえば船でも船長とハイメさん以外は」
「若い奴ばかりだろ」
「長く生きられないんですね」
「遠くに出て飢え死にしたり動けなくなって死んだりもするさ」
船長もこの話をした。
「遭難してな」
「それで、ですか」
「壊血病っていうな」
「その病気で」
「ハイメも言ってただろ、果物とか食わないとな」
それでというのだ。
「その病気になってな」
「死ぬこともですか」
「あるんだよ」
それもというのだ。
「だからな、もう海賊なんてな」
「何時死ぬかわからないですか」
「そうだよ、若くてもな」
「そうした仕事ですか」
「そうだよ、俺も明日死ぬかもな」
笑って言う船長だった、だが船長とこの話をした次の日にだった。
ホセはその船長に海賊の仕事を辞めると言って快諾を受けてだった。
元の居酒屋の仕事に戻った、そこで海賊達を相手にした商売をしていったがここでだった。店の若い者に言われた。
「ホセさんは前は海賊してましたね」
「ああ、一回だけ海に出たよ」
ホセはこう若い者に答えた。
「本当に一回だけな」
「どうでしたか?」
「どうでしたかって一回海に出てわかったよ」
仕事の合間に笑って話した。
「俺には向いてないな」
「そうした仕事でしたか」
「ああ、何時何で死ぬかわからないしな」
「それで、ですか」
「一回出てな」
それでというのだ。
「辞めたんだよ」
「そうだったんですね」
「確かに賑やかだけれどな、何時死ぬかわからないし何かと大変だからな」
「それで、ですか」
「海賊は止めたさ、それでこの仕事に戻ったんだ」
居酒屋のそれにというのだ。
「そうして暮らしてるさ」
「そうですか」
「ああ、俺には向いてないっていうか実際に海賊をやるとな」
「本当に何時死ぬかわからないんですね」
「そうだよ、そうした仕事はな」
どうもという顔で話すホセだった。
「俺は無理だってわかったんだよ」
「だからこの仕事に戻って」
「やってるんだよ、じゃあ今からな」
「はい、休憩も終わりですし」
「酒や食いもの出していくぞ」
「今夜も忙しいですからね」
「ああ、稼いできた海賊相手にな」
店にはその彼等で溢れている、皆派手に飲んで食って乱痴気騒ぎと言っていい派手な遊び方をしている。
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