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海賊になって
第七章

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 しかしある朝だ、ホセは横で寝ていた同僚のキヨが起きないのを見て声をかけたが返事は一切なかった。息をしていなかった。
 それで船長に言うとだ、船長はこう言った。
「キヨか、あいつ船にいた時から一番飲んでただろ」
「はい」
「それだ、昨日もとにかく飲んでたからな」
「酒で、ですか」
「死んだんだよ、顔色も悪かっただろ」
「そういえばそうでしたね」
「身体壊してたんだよ」
 酒のせいでというのだ。
「それで昨日もしこたま飲んだからな」
「死んだんですか」
「そうなんだよ」
「そうですか」
「そうだよ、それでな」
 だからだというのだ。
「死んだってことだ、じゃあ葬ってやるか」
「そうしますか」
「ああ、まあ前の仕事の時は誰も死ななかったしな」
「けれどキヨは死にましたね」
「そうだな、この仕事は本当に何時どうなるかわからないんだ」
 船長はホセに腕を組んだ姿勢で話した。
「だからな」
「キヨのこともですか」
「ああ、今そうなったんだ」
 酒で死んだというのだ。
「それだけのことだ」
「そうですか」
「ああ、じゃあ葬るな」
「わかりました」
 ホセは船長のいつものことだという言葉に応えてだ、そうしてだった。
 彼の葬式に出た、その葬式の時にキヨの年齢を聞いて驚いた。
「俺より二つ下だったんですね」
「ああ、そうだったんだな」
 船長は葬式の後で自分にキヨのことを聞いてきたホセに応えた。
「あいつは御前より年下だったか」
「まだ若いのに」
「だからな、この仕事はな」
「何時死ぬかわからない、ですね」
「そうだよ、最初の仕事の時に死ぬこともあるって言ってるだろ」
「それも多い、ですね」
「ああ、船が嵐に遭って沈めばな」
 その時はというと。
「全員地獄行きだ、木の板の一枚下は本当に地獄だろ」
「はい、鮫の餌ですね」
「船から落ちてもだ」
 それだけでというのだ。
「終わりだ、鮫の餌だ」
「ですよね」
「他の船襲う時に返り討ちにも遭う」
 そうしたこともあるというのだ。
「それで死ぬ奴も多いさ」
「向こうも武器持ってますからね」
 刀なり銃なりをだ、だから海賊の方も攻めやすい様に夜に仕掛けたりするのだ。
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