第六章
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「あの、バロアって」
「前に話したな、性質の悪い海賊もいるってな」
「その性質の悪い海賊がバロアですか」
「それも最悪だ」
性質の悪い海賊達の中でもというのだ。
「もう人間の命なんか何とも思ってねえ奴等だ」
「襲う船は皆殺しですか」
「ああ、同業者だってな」
「あの話はバロアのことだったんですか」
「これまで何十人いや何百人殺してきたかわからねえ、殺し方もえぐいんだ」
「そんなにですか」
「前にハバナの金持ち襲った時は女子供も全員手足ぶった切って串刺しにしたんだ」
「酷いですね、それは」
ホセもその話には仰天して応えた。
「手足切って串刺しとか」
「それで苦しみ抜いて死ぬのを酒を飲みつつ笑いながら見ていたんだ」
「そんな奴ですか」
「ああ、だからな」
「すぐにですか」
「逃げるぞ、いいな」
「わかりました」
ホセも頷いてだ、彼は彼の出来ることをしてだった。
その船から必死に逃げた、この時も何とか難を逃れることが出来た。
そうして港に戻ると待ちに待った遊ぶ時だった、宝は気前よく山分けされてほせもその山分けをされた宝の山を使ってだ。
派手に遊んだ、朝から晩まで飲んで騒いでだった。
楽しく過ごした、その中で娼館にも入ろうと思ったが。
同じ船の仲間がある娼館に入ったのを見て一緒に夜の街を肩を組んで歩いているハイメに対して囁いた。
「あの店やばいですよ」
「ぼったくるんだな」
「はい、さっき入った居酒屋でそんな話してましたよ」
「そうした店か」
「やばい病気持ってる女も多いって言ってました」
「そうか、けれどな」
ハイメはホセのその話を聞いて笑って言った。
「病気になるのはすぐじゃないだろ」
「まあそれは」
「そうだろ、だったらな」
「いいんですか」
「海に出てわかっただろ、俺達はそれこそな」
ハイメはかなり酔っているその中でホセに話した、とんでもない勢いで飲んでいたのでもうふらふらである。
「海にいたら何時死ぬかわからないんだ」
「何時、ですか」
「何度か海に出てるとな」
それこそというのだ。
「もう何割かは死んでるさ」
「何度か海に出るだけで」
「色々あるだろ、海じゃ」
「嵐とか遭難とかそれに」
「ああ、海軍だっているしな」
「取り締まりの、それにですね」
「ああ、バロアみたいなのもいるしな」
同業者でも襲ってくる連中がというのだ。
「それに船長だって駄目だってわかったらな」
「その時はですか」
「船員に叛乱起こされて海にドボンだぜ」
「鮫の餌にされるんですね」
「ああ、そんなのだからな」
「もう海に出たらですか」
「何時死ぬかわかったものじゃねえんだ」
そうしたものだというのだ。
「だからな」
「病気なんてな」
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