第一章
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海賊になって
船に入ったのは港町の居酒屋で働いていて彼等の豪遊ぶりを見ていてのことだ。それでホセ=タンゴロは波止場に行ってだった。
海賊になろうと思った、この時彼はその酒場で仕事仲間とした話を思い出していた。見れば二十歳そこそこで顔にはまだ髭もない、ひょろりろした身体で浅い褐色の肌に癖のある黒髪と愛嬌のある黒い目を持っている。
「おいらもああしてな、バッカニアの人達みたいにな」
「派手にか」
「ああ、遊んで暮らしたいな」
こう仲間に言ったのを思い出していた。
「どうせ一度きりの人生だしな」
「最後の審判に行くならか」
「ああ、もう派手に楽しくな」
「そうして生きたいからか」
「そうだよ」
絶対にというのだ。
「そう考えていたいからな」
「だからか」
「おいら海賊になるよ」
「その店辞めてか」
「そうするよ」
こう言うのだった。
「これからな」
「そうか、じゃあ今度会う時は客と店員か」
「ははは、そうなるな」
ホセは仕事仲間のアントニオに笑って返した。
「盛大に稼いで帰ってきてな」
「遊ぶか」
「ああ、そうして生きるな」
「わかった、じゃあ店長に話してか」
「海賊になるな」
店を辞めてとだ、それで実際に店を辞めてだった。
ホセは今波止場に来た、そしてバッカニアの船の一つファン=ディアス号にまで行ってそうしてだった。
船長に会ってだ、海賊になりたいと言うと船長は濃い黒い髭を持っている顔をにやりと笑わせてホセに問うた。
「うちは誰でも歓迎だ」
「そうなんですか」
「ああ、来る者は拒まずでな」
船長はホセに笑いつつさらに話した。
「去る者は追わず、辞めたいなら俺に言えばな」
「もうそれで」
「ああ、辞められる。それに酒も幾らでも飲める」
「酒もですか」
「そうだ、それでもうお宝は手に入れ放題だ」
「それで港に帰ればですね」
「好きなだけ遊べるからな」
ホセは望んでいるそのことも話した。
「楽しいぜ、海賊は」
「そうですよね、それで俺も来たんです」
「派手に遊んで暮らしたいからか」
「はい」
ホセは船長に強い声で答えた。
「来ました」
「わかった、それじゃあ甲板掃除でもいざって時の切り込みも何でもやるな」
「掃除とかは慣れてます」
居酒屋でいつもしている、もうそれはお手のものだという自信があった。
「心配無用です」
「掃除の方はだな」
「はい、安心して下さい」
「ならいい、もっとも掃除にかける時間は少ないけれどな」
「そうなんですか」
「毎日してもな」
それでもと言う船長だった。
「船の生活はお宝手に入れる時はあまりすることがないんだよ」
「そんなものですか」
「それも言っておくな、まあ
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