第三章
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「どうかのう」
「それじゃな」
「それ?」
「あんたどっちも知っててじゃな」
「それでどっちもええとじゃ」
まさにとだ、藤熊は池田に話した。
「わしは思うちょるんじゃ」
「それを言えばどうだ」
「わしがか」
「ああ、学年主任のあんたがな」
「それでことが収まるか」
「どっちも同じだけ美味いと思うんだな」
「わしはな」
また答えた彼だった。
「そう思うんじゃ」
「ならそれをクラスと先生二人に言えばいい」
これが池田のアドバイスだった。
「それでことは収まるさ」
「そんなものか」
「こうした時はあれだ、第三者でな」
池田は今もビールを飲んでいる、烏賊の姿焼きのその味もビールに実によく合っていて最高に美味い。
「立場のある人が言うとな」
「いいんじゃな」
「というか間に入る人がいないとな」
それこそとだ、池田は藤熊に話した。
「ああした話は収まらないだろ」
「そうじゃのう、それじゃったらな」
「あんたがやるんじゃ」
「そうさせてもらうわ」
藤熊も頷いた。
「是非な」
「それにな」
池田は藤熊にさらに言った。
「わしは今ビールであんたは焼酎を飲んでるな」
「酒の話か」
「好みの話じゃ、お互い好きでも相手に飲めと言わないな」
「自分が好きならそれでいいじゃろ」
これが藤熊の返事だった。
「わしは誰にも自分は焼酎好きでも焼酎飲めって強制せんわ」
「そういうことなんだよ」
「ああ、そういうことじゃな」
藤熊もここでわかった、それで二人はそれぞれの酒だけでなく肴も楽しんでさらに話をしていった。
そして後日藤熊は自宅に加納と植野を読んで自分が作ったインスタントの塩ラーメンとカレーラーメン、北海道一番のそれを食べさせた。
そのうえでだ、こう言ったのだった。
「一番二番はあるわ、それはじゃ」
「それは?」
「それはっていいますと」
「人の好みじゃ、人の好みはな」
それはというのだ。
「やっぱり譲れんもんはあるわ」
「その人それぞれで」
「そうですか」
「だからそれは仕方ない」
最早このことはというのだ。
「どうしてもな、しかしな」
「しかし?」
「しかしっていいますと」
「こうして食べるとどっちも美味しい」
二人にこのことを話すのだった。
「そうじゃろ」
「はい、それはです」
「私達もわかっているつもりです」
加納と植野は二人に答えた。
「どのラーメンも美味しいです」
「やっぱり」
「それでええじゃろ」
美味ければというのだ。
「自分が一番と思っていればな」
「それで、ですか」
「いいことですか」
「自分で思っちょればええんじゃ」
こう二人に言うのだった。
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