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空に星が輝く様に
351部分:第二十六話 聴かれたことその八

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第二十六話 聴かれたことその八

「お金を出さなくても美味しいものは食べられる」
「それでもなの」
「安くて美味しいお店を見つける」
 簡潔だが確実な言葉だった。
「それもまた頭の使いどころ」
「だから今もこうしてなのね」
「そういうこと。それじゃあ」
「それじゃあ?」
「スパゲティの次は」
 見ればだった。椎名はもうそのイカ墨のスパゲティを食べ終えていた。実に早い。
 そうしてだ。早速次を頼むというのだ。
「マカロニ」
「マカロニっていうとあれ?」
「そう、マカロニグラタン」
 それだというのである。
「それどう?」
「マカロニよりもフェットチーネの方がよくないかしら」
 月美ももうすぐそのイカ墨のスパゲティを食べ終えようとしていた。その最後の一巻きを口の中に入れながらだ。彼女は言うのだった。
「今は」
「そっちなの」
「マカロニの他にラザニアも頼むわよね」
 月美はメニューを開きながら椎名に問うた。
「やっぱり」
「ラザニア大好き」
 椎名はぽつりと言った。
「あれを最後に食べないと」
「パスタの最後はそれね」
「そう、それ」
「あっ、他にはこれどうかしら」
 ここで月美はメニューを見ながらまた言うのだった。
「ペンネアラビアータ」
「それもいい」
「私も。これ好きなの」
 月美はメニューを見ながら話す。
「じゃあこれもね」
「合わせて五皿」
「それとワインよね」
「そう、ワインも」
 それも忘れなかった。ワインもだというのである。
 そうしてだ。椎名はさらに話すのだった。
「そして最後は」
「デザートよね」
「ケーキがいい」
 それだというのだった。ケーキだというのだ。
「デザートまで食べないと食べたとは言えないから」
「そういうことなのね」
「そういうこと。じゃあ」
「じゃあ?」
「まずはフェットチーネ」
 二番目はそれに決めた椎名だった。月美の言葉を受けてだ。
「そして次にマカロニグラタン」
「それにするのね」
「四番目はペンネアラビアータ」
 椎名は次々と決めていく。月美もそれを聞いていく。
「最後は」
「ラザニアね」
「それとワインどんどん」
 こちらは無制限であるというのである。
「飲めるだけ飲むから」
「飲めるだけなのね」
「お酒の飲み方はどんどん飲むこと」
「それが飲み方なのね」
「そう、飲んでいくから」
 そうしていくとだ。椎名はいつもの抑揚のない言葉で述べていく。
 そうしてだ。彼女は最後にこう言った。
「締めは」
「何にするの?それで」
「ケーキは白」
 まずは色からだった。
「白にするから」
「白になの」
「そう、生クリームを使った苺のケーキ」
 それだというのである。

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