第二章
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「どうしてもだね」
「ああ、小さいしな」
「歴史もそうかな」
「オランダなんかな」
ハインリヒはこの国の名前も出した。
「一回は世界の中心になったな」
「それを自慢してるよね」
「日本にも行ったとか中国と軽く戦争したとかあってな」
「世界を股にかけて商売して」
「大儲けもしたしな」
「オランダはそうした時代があったから」
「あれで歴史凄いけれどな」
この国はそうだというのだ。
「兄弟みたいな関係でも」
「同じ国だったこともあったし」
「あそこは凄いんだよ」
その歴史もというのだ。
「けれど我が国はな」
「どうしてもだね」
「ああ、地味だな」
歴史がそうであることは否定出来ないというのだ。
「本当にな」
「じゃあ覚えることは」
「少ないだろうな」
歴史のテストを前にしている弟に答えた、この話からハインリヒは自国の歴史について考える様になっていた。
それでだ、大学でも友人達に言う時があった。
「我が国の歴史は短くて出来事も少ないな」
「それ言われてるな」
「アメリカよりも歴史がないとかな」
「あの国建国は短くても出来事多かったからな」
「建国の時から今まで」
「本当に何かとな」
「あったけれどな」
友人達も口々に言う。
「それでもな」
「我が国はどうか」
「あまりこれといってな」
「歴史ないよな」
「教科書も薄いっていうしな」
「そうも言われてるな」
「実際に」
どうにもとだ、ハインリヒは難しい顔で述べた。
「奥州の中でもベルギーは」
「若い国だよ」
「二百年あるかどうか」
「他の国が千年以上は普通にあるのに」
「我が国はそれだけだ」
「実際に建国が早いから仕方ない」
「このことは諦めるしかないかもな」
こと自国の歴史のことはとだ、ハインリヒの友人達も諦めていた。だがその彼の話を聞いてであった。
彼が通っている大学の歴史学の教授であるオラニエ=マウニッツが彼を探してだ、その彼の前に来て言った。
「君の噂は聞いているよ」
「僕のですか」
「そう、君は言っていたそうだね」
髪の毛はすっかりなくなり細面に眼鏡がよく似合う、グレーの瞳には穏やかな知性が見られる。背は一七四程度でやや腹が出ている。
「我が国の歴史のことを」
「はい、どうしてもですよね」
ハインリヒはマウニッツに正直に答えた。
「我が国は建国も十九世紀で」
「そうだね、そしてそれからも」
「同じく建国して若いアメリカと比べたら」
「出来事が少ない」
「ですから歴史書も」
ベルギーのそれもというのだ。
「薄いですね」
「俗にそう言われているよ」
「俗にですか」
「うん、しかしね」
それはとだ、マウニッツはハインリヒに話した。
「それはベルギーとい
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