十四 しずめゆく者
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追い駆けてきたカカシも、辺りの木々をなぎ倒しているナルを正気に戻すので手一杯。
逃げるチャンスはある。
「近い内にまた相手してやるよ…うん」
「そう言わず、今、相手してもらおうか!!」
背後から聞こえてきた声に、デイダラは反射的に地を蹴った。寸前まで自分がいた茂みを見やると、スッパリ綺麗に切り揃えられている。
足裏にチャクラを定着させ、大木の幹上で横立ちになって見下ろすと、大きな扇を掲げたくノ一の姿があった。彼女の後ろには、妙な瞳をした黒髪のくノ一がいる。
彼女は、デイダラがいる方向を寸分違わず、真っ直ぐに見つめていた。
(あの眼…!)
写輪眼と並び、木ノ葉に伝わる【白眼】。
その眼を使い、死角から接近してきた二人のくノ一を、デイダラは内心、感嘆しながら口許に弧を描く。
両腕を失っても猶、不敵な笑みを浮かべるデイダラに、ヒナタは一瞬怯んだ。
だが、ヒナタの先導でこの場に辿り着いたテマリは、むしろ果敢として扇を更に広げてみせる。
「その紅い雲模様…お前が我愛羅を攫った『暁』か」
デイダラの外套をちらりと見遣って、テマリは扇を握る手に力を入れた。
つい先ほどまで、風影の不在が公になれば、他の里が攻めてくる可能性もあるという、里を第一に考える上層部の決定で、彼女は国境警備を余儀なくされていた。
バキの口添えやカンクロウのおかげで、我愛羅を追っても良い事に決まった途端、テマリは砂隠れの里を我先にと飛び出したのだ。
連れ去られた我愛羅、そしてサソリと応戦し、負傷したカンクロウ。
姉としてどうしても許せなかった。
ひとり、深追いしようとしていたテマリは、誰かに呼び止められ、ようやく足を止める。
その相手こそ、ナルといの達に一刻も早く合流しようとしていたヒナタだったのだ。
彼女の【白眼】でデイダラがいる場所を特定し、現在ようやく、テマリは弟達の仇と相まみえる事が出来たのである。
扇を振り翳し、テマリはデイダラを強い眼差しで、しかしながら油断なく睨み据えた。
「我愛羅を……──弟を返してもらおう…っ!!」
熱いあついアツイアツい…。
殺意・憎しみ・怒り・悲しみ…様々な負の感情が汚泥となって、ナルの身体を蝕む。
《おい…お前、》
鉄格子の合間からナルを呼んでいた九尾は、ハッ、と鼻をうごめかした。
かつて会った、そして会いたくなかった相手が、ナルの身体を
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