第七章
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「まだです」
「念には念を入れて」
「そうしてですね」
「そこまで徹底して」
「退治しますか」
「そうします」
まさにとだ、役もまた火の術を放ってだった。
吸血鬼の身体を焼いた、吸血鬼は棺ごとその身体を紅蓮どころか白くなっている炎でそれこそ骨まで焼かれた。
そしてその残った灰も。
上から聖水をかけられて溶かされた、こうして後は何も残らなかった。
そこまでしてだ、役は村人達に話した。
「これで終わりです」
「吸血鬼の退治は」
「終わったんですか」
「はい、もうです」
それこそというのだ。
「復活することはありません」
「木の杭を打って身体を燃やして」
「灰まで聖水で溶かして」
「そこまでしてですか」
「やっとですか」
「本来は木の杭を打てば終わりです」
この時点でというのだ。
「そうですが」
「それでもですか」
「念には念を入れて」
「あそこまでしたんですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「ネラプシは非常に強力なので」
「吸血鬼の中でも」
「だからですか」
「灰まで流した」
「そうされたんですね」
「もうこれで、です」
完全にというのだ。
「復活はありません」
「これで誰も殺されずに済みますね」
「邪眼に怯えることもない」
「村が皆殺しになることもないですね」
「約束します」
そのことはというのだ。
「ですから安心して下さい」
「わかりました」
村長が村人を代表して応えた、こうしてだった。
役と本郷は村から約束の報酬を受け取った、それはスロバキアの通貨であるユーロだった。
そのユーロの札束を受け取って二人は村を後にするが村長も村人達も来た時とは違い二人を微妙な顔で見送った。
村を出て中古の日本車で空港まで戻る途中でだ、本郷は運転しながら助手席にいる役に対してこんなことを言った。
「何か退治してもらって嬉しいですが」
「吸血鬼をな」
「ですが同時に嫌なものを見たって顔でしたね」
「見送りはな」
「やっぱりあれですね」
本郷は運転しつつまた言った。
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