第四章
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「欧州ですから」
「キリスト教の国だからな」
「はい、正教ですね」
「キリスト教は土葬だ」
役はこのことを強い声で言った。
「土葬ならな」
「普段は棺桶の中ですね」
「吸血鬼もな」
「ですよね、それなら」
「今からだ」
まさにというのだ。
「墓場に行きだ」
「そこで墓を見ますか」
「最初はな」
「ですよね、吸血鬼はそこからですからね」
本郷もわかっている返事だった、そうして舗装されている道を進み緑の低い草に白い墓標達が囲まれている墓地に来た。
その墓地に来るとだ、二人はすぐにだった。
ある墓地の前で立ち止まってだ、役が案内をしてくれた村人達に話した。
「ここですね」
「そこはソーニャの墓です」
村長が役にすぐに答えた。
「去年死んだ娘です」
「その娘にはつむじが二つありましたね」
役は村長にこのことを確認した。
「そうでしたね」
「それは」
「隠していましたか」
「そこまでは」
「しかしです、隠していてもです」
それでもと言う役だった。
「あるものはあるのです」
「先程のお話の通り」
「彼女は必死に隠していたのでしょう」
死んだその娘はというのだ。
「自分が死ねばネラプシになると言われるのを恐れて」
「それで、ですか」
「おそらくは」
「そうだったのですか」
「彼女の両親は知っていたかどうかは知りませんが」
「ソーニャはブレスラウからこっちに来た娘で」
スロバキアの首都であるこの街にというのだ。
「教会で働いていました、ですが去年交通事故で」
「死んだのですか」
「真面目なシスターでしたが」
「シスターでもつむじが二つあり他に色々と死ねば吸血鬼になる条件が揃えば」
そうなってしまえばというのだ。
「ネラプシになるのです」
「それでなのですか」
「彼女はネラプシになり」
そしてというのだ。
「人を襲って殺し血を吸う様になったのでしょう」
「そうですか」
「他の条件が気になりますね」
本郷は鋭い目になって役に言った、彼女の墓を見ながら。よく見れば墓標の前の土が他の場所に比べて掘り起こした跡が目立つ。それだけ掘り起こした跡が新しいということだ。
「それが」
「そうだな、吸血鬼になる条件は色々だ」
役もこう言った。
「実にな」
「そうですよね」
「吸血鬼に血を吸われただの色々あるがな」
「その原因はですね」
「本当に色々だ、彼女が何故吸血鬼になったかまではわからないが」
「つむじはそのうちの一つに過ぎないですね」
「つむじが二つある者が常にネラプシになる筈もないだろう」
死んでこの吸血鬼になることはというのだ。
「その条件の一つだった、そして彼女はだ」
「自分のつむじのことを必死に隠していましたか」
「
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