第十三話 心情
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笑みを浮かべながらそう続けてくる。暗に『お前にできることはないからさっさと消え失せろ』と言われているような気がするのだが、事実そうなので凰香はおとなしく立ち去ることにする。
しかしその前に凰香は吹雪に近づき、片膝をついて言った。
「吹雪さん」
「…は…い…」
「次から私にお願いする時は決して土下座しないように。いいですね?」
凰香がそう言うとその場にいた艦娘達が驚いた表情になる。
しかし凰香は気にすることなくすぐに立ち上がり、その場から立ち去ろうとした。
「提督………」
テントの出入口へと向かう途中、心配そうな表情の初霜が声をかけてきた。
凰香はここに来た目的を初霜の伝えた。
「初霜さん、出来たらでいいから演習で成績が良かった人に間宮アイス引換券を渡す、と言う旨を伝えておいてくれませんか?」
「……了解しました」
凰香の言葉に初霜は渋い顔で承諾してくれた。いつもなら手を叩いて喜びそうな初霜だが、やはり周りの空気を察して喜ばないようにしているようだ。
何にせよこれでここに来た目的は果たしたので、今度こそ凰香達はテントから出ていく。それに今まで黙っていた大淀が慌ててテントから出てきて、凰香達に追いつくと並ぶように歩き始める。
「提督……」
「そろそろ演習が始まります。見張り台へ戻りましょう」
何か言いたげな表情の大淀にそれだけ言うと、歩くスピードを上げた。
今凰香は防空棲姫や時雨以外の誰かと話をする気はない。それだけ胸糞が悪かった。
凰香の心情を読み取ったらしき大淀は小さくため息を零し、それに追いつこうと大淀もスピードを上げた。
そのまま、凰香達は一言もしゃべることはなく見張り台へと向かう。その道中、多くの艦娘たちが海岸へと向かって歩いていく姿を見た。模擬戦闘の観戦でも行くのであろう。普段、訓練ばかりの艦娘達にとっては一種の娯楽なのかもしれない。
その中に曙と潮の姿を見かけたが、彼女たちは凰香に気付くとすぐさま走り去って行ってしまった。凰香もいちいち話しかけるのが面倒くさいのでそのまま歩いていく。
そんな艦娘達を尻目に見張り台に辿り付いたとき、ちょうど演習が始まる直前だったらしく、模擬戦闘組が海を移動している姿が見える。
先ほど顔を合わせたメンツが海面を滑る様に移動している中、主砲である連装砲を携えた吹雪が見えた。時折袖で顔を拭っている辺り、まだ万全と言った感じではないようだ。扶桑も心配そうな表情で吹雪のことを見ている。
そこに、今まで傍に控えていた初霜が吹雪ではなく扶桑に近づいていき、何か耳打ちした。それを受けた扶桑はすぐさま吹雪に近付き、同じように耳打ちする。その瞬間、吹雪の顔が目に見えて明るくなっ
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