第十三話 心情
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ー」
「お願いです!!どうか……どうか金剛さんを責めないでください!!これ以上!!あの人を追い込まないでください!!」
長門の声をかき消すように発せられた吹雪の悲痛な叫びに、周りの艦娘たちの動きが止まる。遠い昔、連合艦隊の旗艦を務め、世界にその名を知らしめた戦艦長門を、火力、装甲共に足元にも及ばない駆逐艦吹雪が、言葉抑え込んだのだ。
凰香と防空棲姫、時雨は何も言わずに黙って吹雪を見つめる。
「枯渇した資材は私が死に物狂いで働いて貯めます!!どんな危険な偵察も私が必ず成し遂げてみせます!!弾や燃料が尽きようが補給はいりません!!どれだけ傷つこうが入渠もいりません!!ずっと……ずっと最前線で戦い続けます!!あの人の足りないところは全て私が補います!!ご希望なら伽のお相手も致します!!どのような命令にも必ず従います!!……どうか、どうかあの人を責めないでくださいぃ……」
怒号にも似た吹雪の言葉は、やがて嗚咽交じりの泣き声に変わった。必死に床に頭をこすりつける吹雪。その顔がどのようになってるか、見るまでもないだろう。
「お願いします……お願いします……どうか、どうかあの人を……そのためなら……そのためならごーーー」
「吹雪」
吹雪が言いかけた言葉を、場違いなまでに静かな声が遮る。それは、今まで静かに黙って聞いていた扶桑が出したものだった。
静かな声によって吹雪の言葉が断ち切られるとすぐさま扶桑が彼女に歩み寄り、その襟を掴んで無理やり立たせ、ズイッと顔を近づける。
「その言葉を二度と言わないで頂戴」
横顔だけで背筋が冷たくなる剣幕と、絶対零度のような声。それを目前で受けた吹雪は、小さな嗚咽を漏らしながら頷いた。それに扶桑は掴んでいた襟を離し、子供をあやす様に吹雪の身体を抱きしめる。
しばらく、テント内は吹雪の漏らす嗚咽とそれに優しい言葉を掛ける扶桑の声が響くだけであった。
「提督」
その沈黙を破ったのは、吹雪を抱きしめる扶桑だった。
「もうすぐ演習が始まる時間です。私達も準備があるので、そろそろお引き取り願ってもよろしいですか?」
「……大丈夫ですか?」
「はい。私はこの子の教育係でしたので大丈夫ですよ」
凰香の言葉に扶桑が優しく返してくる。しかし無理に演習に出てへんに怪我されたら元も子もない。
凰香がどうしようか考えていると、今度は長門が口を開いた。
「安心しろ、提督よ。扶桑だけでなくこのビック7もついている。僚艦に下手な被害を被らせないよう動くことなど、造作もないことだ」
「そーそー。それにここにいるのは皆ベテランだからお前さんが心配することは何一つ無いって」
長門に続いて隼鷹が軽薄な
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