純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 4
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ゃっ!」
爽やかな香りと共に注がれる澄んだ金茶色の液体に、諸手を挙げて飛び付くティー。
……よっぽど気に入ってるのね、ミントのお茶。
「ねぇ、ティー。幾らアーレストさんが勧めてくれてるからって、一度にたくさん飲み過ぎるとお腹がタプタプになるわよ?」
「にょんにゃいにゃい」
既に膨らみ始めているお腹を指先で横から突いてみたら、結構な弾力で跳ね返された。
これは「また」後で苦しむわね。絶対。
「もう……」
フィレス様とソレスタさんの不在を誤魔化す為に、最低限二人分の食料や生活費用を消費しなければいけないから、私達も時折こうして御馳走になっているけど。
私もティーも、勿論リースリンデも、本来は食べ物を摂取する習慣が無い。食べられない訳じゃないけど、敢えて食べる必要が無い。そういう生物だ。
まして、今の私達の器は基本的に成長しない作り物。不必要な食物を消化するには、人間の数倍は時間が掛かる。
なのに、お菓子やお茶の味を覚えてからというもの、ティーの食欲は留まるところを知らない。小さな体の何処に入っていくのか、横になるのも辛いと言い出すまで延々と飲食を続ける姿は、見ている此方に一種の恐怖を植え付ける。
「ごめんなさい、アーレストさん。茶葉を大量に浪費させてしまって」
「いえいえ。食欲が無い代わりにお茶を飲んでいると言えば、総て経費で賄えますから。ティーさんとリースさんが飲む水はマリアさんにご用意いただいた物で、此方の負担にはなっていませんし。寧ろ不自然な減算にならなくて非常に助かっています。ただ……苦しそうな姿を見掛けると、そのまま体調を崩してしまわないか心配にはなりますが……」
「ほら、ティー。お世話になってる人に心配を掛けちゃってるわよ。その辺りで止めておきなさい」
「にゅうぅー」
「そんな悲しそうな目で訴えてもダメ!」
「……にゃにゃにゃ、にぇみぇにぇ、みゃにょいっみゃい……」
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「ぅ……」
金色の目を潤ませて、下から上を覗くようにおずおずと私を見上げるゴールデンドラゴン。
卑怯だわ。卑怯すぎる。
なんなの? この、可愛い攻撃!
「い……、一杯だけ……、よ?」
「みゃあーっ!」
コップを掲げて大喜びのダンスとか。
この子、本当にティーの記憶を受け継いだ竜族なの? 私の本体を拾って付き添ってくれたあのティーとは、似ても似つかない言動ばかり。
いえ、言葉遣いはあのティーそのものなんだけど……ひょっとしてあのティーが現代に生きていたら、この子と同じような振舞いをしていたのかしら?
木製のカップを掲げて嬉しそうに踊る、見目麗しい男性のティー………………
……駄目ね。全然想像できないわ。
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