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才能売り〜Is it really RIGHT choise?〜
Case1 後編
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かこうなることを。
「選択に後悔はしないでね」さりげなく言われた言葉は裏返せば、「それは本当に正しい選択?」と念を押す言葉になるのだろう。
あの日あのときあの場所に、才能屋に訪れさえしなければきっと、おれはこんなことにはならなかったのに。
でも、おれは才能屋を恨まない。灯さんは確かに、さりげなくだけれど確かに、おれに忠告してくれたんだから。その結果おれのした選択について、あの人に罪はない。――選んだのは、おれなんだ。
ああ、どうしておれは、あの日あの時の愚かなおれは、短絡的な「成功」に飛びついてしまったのだろう。失うものについて、深く考えなかったのだろう。若気の至りという言葉があるけれど、あれはまさしくそれだった。おれは勉学を望んでも、おれそのものみたいなサッカーだけは、対価として差し出してはならなかったんだ。おれは人生を間違えた!
あの店の教えてくれる教訓は、きっとこうなんだろう。
「身の丈に合わないものを望むな」
おれは身の丈に合わないものを望んだから、今、不幸せなんだろう、きっと。
ストライカー、山本ゆっきーは死んだ。今いるのは夢失ったワーカホリック、山本雪也だ。
気づいてしまった今、おれはこれからどう生きることになるのかわからない。でも、いくら成功して家庭を持っても、心から満たされることだけは絶対にないのだろう。そしておれはサッカーが嫌いになる。失われたものを思い出させるから。それでいつか働き過ぎて過労死でもするのだろうか。好きなことをなくしたおれは、働かなければ退屈に殺されてしまうんだ。働いても疲労に殺されてしまうんだ。おれはどうすればいいんだ、なあ!
才能屋が、灯さんが、笑う声が聞こえた気がした。
(それは本当に正しい選択?)
ああ、おれは間違えた。人生の選択を間違えた。
最初から、自分で努力すれば良かったんだ。才能屋なんかに頼らずに――。
〈Case1 夢喪失ワーカホリック 完〉
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