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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
第二章 対パルス使節団編
第九話 女神官乙
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ままではイグリーラス、お主の妻にはなれぬからのう」

「おお、ようやく決心してくれたか!有り難い!実に嬉しいよ、ファランギース!」

驚きながらも彼は喜んでくれた。しかし、グルガーンは複雑そうな顔をしている。

「おや、喜んではくれぬのか、グルガーン?」

少し冗談めかして私が尋ねると、グルガーンは困ったような顔を私に向けた。

「勿論うれしいさ。だが良いのか、ファランギース。貴女なら優秀な女神官になれたはずだ。それだけの才能はあると女神官長を始め、上の方たちからも期待されていただろうに…」

「ふふ、良いのじゃグルガーン。確かに迷ってはいたがの。一人の男を愛し支えて共に生き、子を産み育て、命の系統樹を大きく長く作って行くこと。それは神の御心にも適う道。決して一身の幸せの為に神に背を向けるものだと考えてはならぬと、とある方に諭されての。女神官長もそのとおりだと仰っていた。信仰に一生を捧げるのはそれしか出来ぬ者が進む道。他の道も選べる者に入って来られては迷惑じゃともな」

「はは、少し笑えるな。だが、その通りか。義姉上、と今後は呼ばせてもらうが、貴女のような方が兄の伴侶となってくれる事に心からの感謝を。貴女が兄のそばに居てくれるなら安心だ」

…そして、それが私が聞いたグルガーンの最後の言葉じゃった。その後、彼とは終生会うことは無かった。

◇◇

グルガーンは書き置きを残し姿を消した。そこには、「自分は兄の永年の説得により、ようやく目が覚めた思いだ。ザッハークこそ諸悪の根源。それを討つため自分は旅に出ることにした」と言うような事が書かれていた。…半分本当で、半分嘘だけどな。

グルガーンにはお前の蛇王礼賛トークが兄の立場を悪化させてると正直に告げた。良かれと思ってしたことでも、逆効果になることなんて世の中には幾らでもある。中でもこれは最悪な部類だとも。さすがに落ち込んでいたが、このまま姿を消して、人知れず命を絶ちたいとまで言い出したからさすがに止めて、もっと有益な命の使い道を教えてやった。
「蛇王を崇拝する魔道士の一味がいる。そいつらの中に潜入して俺やアルスラーン王子に情報を流してくれ。成功したらお前の事を後世まで語り継いでやる」と。

連絡の付け方など細々した事を詰めた後、グルガーンは勇躍デマヴァント山へ向かった。そこできっとあの暗灰色の衣の尊師に会うことになるんだろう。無事に潜入できるかなんて心配はしていない。あいつの蛇王礼賛トークは年季入ってるからな。奴らでもコロッと騙されること請け合いだ。

その後、ファランギースの還俗と、イグリーラスとの婚約が発表され、それを受けてか、更に選定に時間がかけられ、滞在から七日目でようやく選定が終わった。選ばれたのは、イグリーラスとその他貴族二人だ。名前は聞いたはず
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