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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
第二章 対パルス使節団編
第九話 女神官乙
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しているようですらあった。何故、イグリーラスは弟を黙らせることをしないのか。管理不行き届きだし、目下への指導力が欠けているのではないか。或いは、どんだけ議論をふっかけられても論破出来る俺スゲーと自分に酔っているのではないか。いや、むしろ自分の有能さをアピールするために弟にわざとやらせているのではないか。いやいや、実はイグリーラス自身も何処かで聖賢王や神々を軽んじているのであろう。などと悪意ある者なら幾らでも悪く考える事は出来ただろう。
イグリーラスの一件に責任を感じ、神殿を辞したいと訴えたファランギースを優しく諭した女神官長は立派な人であったろうし、それと同格であった神官長も決してそれに劣らない人ではあっただろう。身分差別にも否定的で公正な人柄であったかもしれない。だが、周囲からそこまで悪し様に言われているイグリーラスを、周囲の反対を押し切ってまで推す事は出来なかったのだろう。
それにファランギースがこのまま女神官を続けるのか、それともイグリーラスの嫁になるのか、どっちつかずでいた事も結果的には災いした。モテる上に女神官としても優秀な彼女を自分が独占するには立身出世するしか無いとイグリーラスは思っていたことだろう。が、立身出世の望みが絶たれたとき、ファランギースは彼にとって永遠に手に入らない存在になってしまった。それがますます彼を絶望させた事であろう。
だが、もし足を引っ張るグルガーンを穏便に排除し、なおかつ平和利用できたら。そして、ファランギースが豆腐メンタルなイグリーラスと添い遂げる覚悟を固めて、彼を精神的にガッチリ支えていれば。そう、俺はそのたらればを現実のものにするためにここに来たのだ。
神殿にある面談室に、俺たちはファランギースを呼び出した。時間通りにやってきたファランギースは不審そうな表情だった。そりゃあそうだ。アルスラーン王太子殿下に呼び出されたはずなのに、お目付役のナルサスはともかくとして、明らかに異国人と判る俺までがここに待ち受けていたんだからな。それでも、アルスラーンが「こちらはシンドゥラの王族の方で、私に王族としての心掛けなどを教えてくれている、まるで本当の兄のように思えるお方だ」と紹介してくれた事で、ようやく納得したようだった。尤も、ナルサスは終始渋い顔だが。こんな男は兄に相応しくないとでも思っているのだろう。知った事ではないけどな。さて、まずはファランギースとOHANASHIを始めようか。それが終わったら、次はグルガーンだ。
◇◇
その翌日、私、ファランギースは、昨日王太子殿下たちからお話を伺った面談室でイグリーラスとグルガーンと話す事にした。何故こんなところでと不審がる二人じゃったが、内密かつ緊急の件だと押し通した。
「既に女神官長にはお話しご了承は頂いておるが、私は還俗する事にした。女神官の
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