炎
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
レツは倒れたハルマの前に駆け寄り、静かに話しかける。すぐそばに目をやれば、傷一つない夜桜が妖しげに純黒の輝きを見せる
「少し休んでろ。ハルマ・・・オレがケリをつけっから」
レツの身体が、炎を纏う。右腕から放たれた炎は龍の形を象り、王虎に迫っていった
「(火炎変化・飛龍??)」
龍が王虎を飲み込む。しかし、その瞬間。龍は弾け飛ぶ。何をやったのか見当もつかないが、ただ一つだけ言えることは、王虎は腕一本失くそうと、レツよりも強い
「・・・・・・これが業魔の最後の生き残りとはな」
「しかし、どうやって生き延びたのか」
「知るかよ!」
炎を纏った拳を王虎の顔面めがけ振り下ろすも、その拳はいとも容易く受け止められた。右手が炎で焼けている筈だが、眉一つ動かさず、自身の左腕があった箇所を見る
「一時的とはいえ、流石に左腕がないのは面倒だな」
蹴りを入れられ、後退したレツは苛立った様子だ。効かない事はない筈だ。そんな思いがレツの苛立ちを増長させる
「何で・・・効かねえんだ?オレの炎が」
「かつて、業魔の中にも貴様と同じように、火を操る者達がいた」
「奴らの火はまさしく災害!あらゆる里がその力を畏れ、欲した!だが、貴様のはどうだ?確かに操れるようだが、その力は微々たるもの??奴らには遠く及ばん」
王虎の右手が光り、レツは構える
「見せてやろう。攻撃とは、こうやるのだ」
しかし、一瞬で目の前に現れた王虎の攻撃に反応出来ず、術をくらってしまう
「(爆遁の術!)」
「ガァッ??」
大きな爆発が巻き起こり、地面に打ち付けられるようにして倒れたレツに、王虎は見下した口調で話しかける
「分かるか?これが貴様と俺の力の差だ。千手ハルマは中々のものだったが、やはり俺に敵わなかった。その時の奴よりも弱い貴様が勝てる道理はない」
「貴様は戻って来るべきではなかった。千手ハルマが自らを犠牲にしてでも、貴様らを逃がそうとしたというのに、戻るなど愚か者がする事だ。その点では日向の小娘は利口だったな」
レツの歯が軋む音がする。忍としての合理的判断でいうなら、確かにカナの言う通りにするべきだとは分かっているのだ。しかし、仲間を捨てる事など、彼には出来なかった。起き上がり、王虎を睨み付ける
「うるせえ。おめえはカナの事知らねえだろ。あいつがいなくても、オレ一人で勝ってやる!それにオレがハルマより弱いって、分かった気になってんじゃねえよ??」
「ほう?ならば、貴様は奴より強いという事を見せてくれるのか?」
『レツよ。自身の力を完全に開放しようとしてはならんぞ。それはお主の身が崩壊する危険が高すぎる!』
三代目の言葉がレツの脳裏をよぎる。しかし、今のままでは王
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ