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大阪のつらら女
第二章
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 それでだ、晶子は今その世間のことを思って真奈に言うのだ。
「まさかあんたの旦那さんの会社の関係者がね」
「あんたのお隣さんで」
「しかも暮らしているなんて」
「不思議よね」
「本当にね」
 二人でこう話す、そしてだった。
 今度は真奈からだ、晶子に対して言った。
「それでね」
「それで?」
「いえ、お礼言わないとね」
「この水饅頭くれたから」
「ええ、だからね」
「そうね。気前のいいものでいつも水羊羹とかアイスとかくれるけれど」
 アイスクリームもというのだ。
「私もお礼してるけれど」
「そこはちゃんとしてるのね」
「やっぱりね」
「ええ、お礼しましょう」
「それじゃあね」
 二人でこう話してだ、実際にその氷上さんという人にお礼をすることにした。だがここで晶子は真奈にその人のことをさらに話した。
「夏はあまりお外に出ないって言ったわね」
「ええ、さっきね」
「ご主人は普通に働いておられるのよ」
「そうなの」
「それでもその人はね」
「夏にはなの」
「随分暑がりみたいで」
 それでというのだ。
「お外に出たがらないの」
「そうした人なら」
 真奈は晶子の話を聞いてこう言った。
「あまり熱いものはね」
「ええ、私もそう思うわ」
「だったらね」
「冷たいものがいいわね」
「だからアイスキャンデーお礼にするつもりなの」
「そうなの」
「丁度冷蔵庫の中に北極のアイスキャンデーがあるから」
 大阪難波にあるお店だ、大阪に昔からある老舗のアイスキャンデ―の店だ。
「それをね」
「ああ、北極のなの」
「この前難波に行った時に買ったから」
「それじゃあね、それ持ってね」
「行きましょう」
 こう話してだった、二人は水饅頭を食べるとすぐに冷蔵庫からその北極のアイスキャンデーを出してだった。
 お隣の家に行った、すると。
 チャイムから返事が返ってきたがその返事はというと。
「玄関の中に来てくれますか?」
「玄関のですか」
「その中までですか」
「はい、いらして下さい」
 是非にというのだった、声自体は澄んで奇麗な声である。
「そうして下さい」
「わかりました」
「それじゃあ」
 二人も頷いてだ、玄関の中までお邪魔することにした。この時二人は特に何も思うことはなかった。
 だが玄関の中に入るとだ、すぐにだった。
 二人は家の中の寒さに絶句した、それはまさに真冬の寒さだった。そしてその家の玄関二人の目の前にだ。
 黒く長い髪の毛に白い肌に切れ長の黒い目を持ちややおかめ顔ながらも整った顔立ちの妙齢の女性がいた、服は白いブラウスとスカートだ。
 その女性がだ、二人に言ってきた。
「あの、お礼にですか」
「はい、水饅頭の」
 晶子が答えた。
「お礼にです」

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