第二章
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「そうなったがまだだな」
「どうしましょうか」
「また動かれる様ですが」
「もう実験もないというのに」
「それでも」
「ここはだ、叔父上の希望を完全に奪うか」
マツリカは酷薄な笑みを浮かべて呟く様にして言った。
「二度と何も出来ない様にしておくか」
「といいますと」
「一体どうされるのですか」
「ここは」
「うむ、見ておくのだ」
こう言ってだ、そしてだった。
マツリカは周りに自分の考えを話した、すると周りは最初は驚いたがすぐに彼の考えに大いに頷いた。
ある日宮中において王族や廷臣達が集う中でだ、マツリカは玉座に座る国王と王妃の前に進み出た。王族の筆頭に彼の政敵である王弟彼の叔父もいる。
その彼を横目で一瞬見てからだ、自身の両親に言うのだった。
「父上、母上、お話があります」
「何だ?」
「はい、私は今婚約者がおりません」
以前自身が生まれた時に密かに定められていた許嫁が自身の親友と相思相愛だったのを知って二人の間を取り持って今はいないのだ。幸い婚約が発表される前のことだったので騒ぎは大きくならなかった。
「それでこの度です」
「未来の王妃をだな」
「決めたいのですが」
「そうだな、その話をしていこう」
「いえ」
ここでだ、マツリカはにやりと笑ってだった。
王そして王妃だけでなく居並ぶ王族と廷臣達に高らかに言った。
「もう決めています」
「既にか」
「はい、その相手は」
ここでだ、何とだった。
王弟のすぐ後ろに控えていた小柄で楚々とした外見の少女が前に進み出た。王弟のただ一人の子である。
頬を赤らめさせているその娘を自分の傍に来る様に言って強く抱き寄せてからだ、彼は両親に言った。
「彼女です」
「何と・・・・・・!」
このことには王と王妃だけでなく事情を知らない誰もが驚いた、だが彼に近い廷臣達や弟達は事情を知っていたので笑みを浮かべていた。
だが知らない者は驚いていた、特に王弟がだ。
驚愕していた、そしてだった。
マツリカにだ、蒼白になって問うた。
「一体何時の間に」
「さて、しかしです」
「もうというのか」
「決まったのです」
「それが誰が決めたのだ」
「王太子である私が」
マツリカは王弟に傲然として言い放った、その間娘はずっと彼に抱き寄せられたまま頬を赤くさせて寄り添っている。
「決めたのです」
「それで決まったというのか」
「そうです、何か言われたいのですか」
「私の娘であるぞ」
「その娘殿を私は妻に選んだのです。そして」
父親である彼に対してこれ以上はないまでの残酷な言葉をあえて言うのだった。
「私の子を産んでもらいます」
「くっ、私は許さないぞ」
「叔父上がお許しになられずとも」
それでもと言うのだった。
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