第三章
[8]前話
「地球、そして宇宙には」
「恐ろしいですね」
「全くだ、上には上がいるというが」
「大きさもですね」
「その様だな、噂では大きさを無限に変えられる恐ろしい種族もいるというが」
「若しやダイダラボッチというのはその種族が地球に来ていたのでしょうか」
「それはわからない」
そこまではというのだ。
「しかしな」
「この話はですね」
「知っておくといい」
「わかりました」
クラテリスは何とか冷静さを保ちながら長老に応えた、そのうえでアルネブと共に行っている仕事に戻った。
そしてだ、仕事の途中に彼に言うのだった。
「私の大きさは言わないけれど」
「うん、それはもうわかっているよ」
アルネブもそれは既にだった。
「だからね」
「そうね。けれどね」
「けれど?」
「宇宙はとても広いわ」
その広さたるや途方もないものだ、その中に無数の銀河系の様な何千億もの恒星が集まったものが存在している程だ。
「だから中にはね」
「宇宙の中にはなんだ」
「上には上がいるわ」
こう彼に言うのだった。
「本当にね」
「それどういうこと?」
「言った通りよ」
こうアルネブに答えた。
「今ね」
「上には上がなんだ」
「私の大きさなんて」
長老から話を聞いたダイダラボッチと比べればというのだ。
「何ということはないわ」
「そうなんだ」
「けれど内緒にするわ」
アルネブにはというのだ。
「貴方に言うには私は大き過ぎるから」
「言うと僕がショックを受けるからなんだ」
「そうよ。だからね」
それでとだ、クラテリスはさらに話した。
「言わないわ」
「そうなんだ、じゃあ僕はいいけれどね」
それでとだ、アルネブはクラテリスに笑って返した。
「それなら」
「そこで納得してくれるのね」
「僕はそれでいいよ。それでね」
「お仕事ね」
「ええ、お仕事だけれど」
アルネブは今度はそちらの話をした。
「今回もね」
「かなりよね」
「多いよ」
そうだというのだ。
「やっぱり知的生命体が存在していると」
「その分ね」
「哀しみがあるから」
「地球には沢山の知的生命体が存在しているから」
「人間をはじめとしてね」
「犬や猫といった生きものも哀しみを感じるし」
知能、それがあるからだ。
「だからね」
「哀しみが一杯ある星だから」
「哀しみを少しでも取り除いていこう」
「わかったわ」
クラテリスはアルネブのその言葉に頷いた、そしてだった。
アルネブの手の平位の大きさになってそのうえで地球での仕事をはじめた。今はダイダラボッチのいないその星において。
どこまで大きいのか 完
2018・7・27
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