337部分:第二十五話 キャンプファイアーその九
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第二十五話 キャンプファイアーその九
だがそんな彼等を見てだ。星華は忌々しげに呟いた。
「何だってのよ、全く」
「そうよね。星華ちゃんが折角誘ったのに」
「それ袖にしてあんな奴と一緒に踊って」
「どうかしてるわよ」
三人も口を尖らせてこうそれぞれ言う。
「それにあいつも」
「ああ、あの馬鹿よね」
「結局倉庫に行かなかったみたいよね」
「行く筈ないじゃない」
星華も軽く考えていた。
「どうせさ。あんな奴って」
「気まぐれだしね」
「自分勝手に動くし」
「忘れてたんでしょうね」
「そうよ。だからああして二人で楽しく踊ってるのよ」
星華はまた月美を見て言った。暗闇の中で赤い炎に照らされてだ。二人はその中で幸せに満ちた顔で踊り続けているのである。
「役に立たない奴ね」
「あいつ、あそこで殴られてたらよかったのに」
「そうよね、それで泣いて逃げてたらね」
「面白かったのに」
三人にとってもそんな軽い調子だった。
「それで何もなかったって」
「どんだけ使えないのよ」
「所詮ゴロツキはゴロツキよね」
「まあいいわ」
星華は言い捨てた。
「それじゃあだけれどね」
「うん、星華ちゃん」
「これからどうするの?」
「それで」
「今日はもう早く寝ましょう」
そうするというのだった。
「早いうちにね」
「寝るの」
「そうするの」
「そうよ、寝ましょう」
星華はまた言った。
「どうせすることないんだし」
「そうね、それじゃあね」
「早いうちにね」
「寝て忘れましょう」
「明日はお休みだし」
文化祭の後の休日になっているのだ。
「何処か行きましょうよ」
「じゃあ百貨店なんてどう?」
橋口がそこに行くことを提案した。
「そこ、どう?」
「ああ、いいわね」
「それじゃあね」
州脇と野上も彼女のその提案に頷いた。そうしてであった。
星華に対してはだ。三人で言うのだった。
「星華ちゃんもどう?」
「百貨店ね」
「どうかしら」
「そうね」
星華も幾分気を取り直した顔になってだ。そうして頷いたのだった。
「それじゃあね」
「それでいいわね」
「じゃあ明日は百貨店ね」
「そこね」
「ええ、わかったわ」
こうしてだった。彼女達は百貨店に行くことになった。しかしだった。
星華はまた陽太郎と月美を見た。相変わらずキャンプファイアーの炎に照らされてそうしてそのうえで踊っている。その二人を見てだった。
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