迎撃〜イゼルローン〜
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ヒアイス。クルムバッハ少佐は、もっと奇麗な部屋をお求めになられている。ちゃんと熊のぬいぐるみはおいたのか。少佐はママがいないと寂しがられておられるようだ」
「ミューゼル少佐!」
「何か、クルムバッハ少佐」
「卿は馬鹿にしているのか」
「いえ。そのつもりはありません、少佐。ただ軍の艦船で望まれることを考えただけでございます」
「その言動はしかと報告させてもらうぞ、ミューゼル少佐」
「キルヒアイス。クルムバッハ少佐には、やはりママが必要なようだぞ」
「貴様!」
「何を騒いでいる」
クルムバッハが叫んだところで、不機嫌そうな声が聞こえた。
カイゼル髭を撫でながら、眉根をしかめた男がいる。
レンネンカンプ大佐だ。
怒りを浮かべていたクルムバッハも慌てたように敬礼をし、ラインハルトとキルヒアイスも同時に敬礼をした。
「私は何を騒いでいると聞いたが」
「は。この者は、私に対して侮蔑の言葉を」
「その話は聞いている。確かに部下が失礼な言葉を言った。憲兵隊少佐。だが、他の部署がわざわざと部屋の奇麗さについて語るほどのことでもないと思うがいかがか」
不愉快そうな視線を向けられ、クルムバッハは一瞬眉を寄せ、ラインハルトを見る。
その後、血色の良い唇をなめて、不愉快そうにレンネンカンプを見た。
「失礼しました。越権行為でございますな」
「そこまでは言っていないが。気を付けていただければ嬉しいものだ、クルムバッハ少佐」
「は、以後気を付けます」
再び礼をすれば、ラインハルトを一度睨みつけて、踵を返した。
足音荒く、歩く様子をラインハルトが肩をすくめ、キルヒアイスが苦笑した。
そんな二人に対して、レンネンカンプは厳しい視線を緩めない。
「君たちもわざわざ、憲兵隊の少佐を挑発する必要もないだろう。作戦会議は終わった、内容を端末に送るから、準備をしたまえ」
「は!」
二人が同時に敬礼をして、同じように立ち去ろうとする。
その背に対して、レンネンカンプは不機嫌そうな声を向けた。
「ミューゼル少佐。君とキルヒアイス中尉がどれほど親しいか私にはわからないが、私事と仕事は分けたまえ」
かけられた声に、ラインハルトが立ち止まって振り返った。
視線がレンネンカンプへと向かい、彼は当然とばかりに髭を撫でた。
そんな様子に、ラインハルトは一瞬驚いたように表情を向けて、敬礼をした。
「は。ご忠告感謝いたします」
そうして、再び踵を返す。
隣を歩くキルヒアイスに一瞬視線を向け。
「ヘルダーといい。よくよく見てみれば、なかなか帝国にも楽しい人間はいるものだな」
「そう言いながら楽しむのは、性格が悪いということですよ、ミューゼル少佐」
「どちらがだ、キルヒアイス中尉」
二人は
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