迎撃〜イゼルローン〜
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かれていく。
そこは中央に長い机が置かれた、会議室だ。
扉が開かれると同時に、反対側に備え付けられていた豪華な扉も同時に開かれていた。
姿を見せるのは黒色の軍服を着た長身の男だ。
同時にクライストの姿も目に入ったのだろう、そこにはあからさまな嫌悪の顔がある。
イゼルローン要塞艦隊司令官ヴァルテンベルク大将。
扉が完全に開いても、二人は睨むように見たまま、やがて視線をそらした。
同時に室内に足を踏み入れれば、クライストの側に座っていた士官が一斉に立ち上がってクライストに対して敬礼を行う。反対では同様に、クライストに背を向けて、ヴァルテンベルクに敬礼をしている姿があった。
互いが互いに、自分の方が上位だと認識している。
だからこそ、本来は一つで良いはずの扉が二つ備え付けられ、さらには入室のタイミングも同時だ。
仲がいいのか悪いのか。
同格の大将である二人は、同様に敬礼を返して、同じ歩幅、時間で自らの席に向かい、同時に着席をしたのだった。
+ + +
「では、反乱軍による侵攻に対する作戦会議を開始します」
クライストの副官であるバッハ中佐の言葉によって、会議は始まった。
第一声が要塞司令官側から発せられたのは決まったことではない。
議事進行を誰が務めるかで過去にもめた結果、交互にとなっただけだ。
「声が小さくて聞き取れませんね」
「仕方がない。バッハ家の坊ちゃんだからな。今回が初めての戦いじゃないか」
「言い過ぎです。実家でネズミ退治くらいはしたことがあるでしょう」
ささやくような声が、宇宙艦隊司令側から漏れ、笑い声が上がった。
対する要塞司令官側からは睨みつけるような視線。
かといって声を荒げようにも、無駄であることは理解している。
「ネズミすら退治できない人間には困った事態かもしれませんが、要塞司令部は恐ろしさを感じていません。クライスト大将、今回の作戦計画をお願いします」
少し大きくなった皮肉の声とともに、クライストが話を振られた。
顔色を変えた者たちが声を出すよりも先に、クライストが手を伸ばした。
中央の卓上が光、中空に映像を映し出す。
同盟軍でも採用された空気中の塵を利用した、投影型モニターだ。
「敵の数はおおよそ五万隻。近年では比較的多い艦隊数だ。それでも二回目に襲ってきた時には劣るが。しかし」
映し出されるのは多くの艦隊が途切れることなく襲い掛かった、第二次イゼルローン要塞攻防戦の戦いだった。放たれたトールハンマーが敵艦隊を穿ち、おおよそ二回撃ったところで敵は総崩れとなった。
映像が流れる中で、画面のイゼルローン要塞の反対側に座るヴァルテンベルクを見ながら、クライストは笑みを浮かべる。
「我が要塞司令部が誇るトールハ
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