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才能売り〜Is it really RIGHT choise?〜
Case1 夢喪失ワーカホリック
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ボンは見えないが、こざっぱりした雰囲気の青年だった。その顔には優しそうな表情が浮かんでいた。
「悪魔」という名乗りとその特異な名字に驚きながらも、ざっと彼を観察し終えたおれはここに来た用件を告げる。
「えーとさぁ、簡単に言うと、おれ、頭が良くなりたいんだけど」
ば、馬鹿にするなよな? これでもおれは本気なんだっつーの! おれが頭が良くなりたいて思っているのはそう単純な理由じゃないんだよ。おれは現在高校三年生。で、どうしても受からなきゃならない大学があるの。でもでもっ、今のおれの学力じゃあ、逆立ちしても受からないんだってば! だからわざわざこんな店に頼ったんだよ。おれ、努力したよ? あまり遊ばないで努力したよ? それでもE判定っておい……冗談きついぜぇ。
店主――灯さんはそんなおれの反応を面白いものでも見るかのような顔でじっと見ていた。
「わかった、君の望む才能をあげるよ。じゃあ代わりに君は何をくれるんだい? 君のくれるものが大したものではなかった場合、僕があげる才能も大したものではなくなるけれど」
それについて、おれはもう決めていた。
「サッカーの才能」
そうだよ、おれはサッカーが得意なんだ、得意なんだぜ? 小中高とサッカー部に所属していたし県大会にも出た。おれの誇れる唯一の才能、それは「サッカー」なんだ。
おれは灯さんを見て、はっきりとした声で言った。
「灯さん、おれは県大会レベルのサッカーの才能を持っているんだ。だからさ、おれにそれと同等の学力をおくれよ。おれ、今のまんまじゃ、お先真っ暗なんだってば!」
「……いいよ、わかった。でも選択に後悔はしないようにね」
灯さんは頷いた。
「契約成立さ。ただし言っておこう。僕はこれから才能の交換をするけれど、その結果については何を言っても無駄だし返品は受け付けない。そのことをよく理解しておいてね。たまに勘違いした人が僕に危害を加えようとしてきて困るんだよ。君は違うと嬉しいなぁ」
大丈夫だとおれは強く頷いた。才能屋も大変なんだなぁ。
灯さんは淡く微笑んでおれに言う。
「じゃあ、もっと近くに来てくれないかな。才能の交換には君に触れる必要があるのさ。そしてね……僕は、勘違いした誰かさんに傷つけられて、あまりうまく歩くことができない身体にされてしまったのさ」
言って、灯さんはカウンターに隠された足を軽く叩いた。
才能屋。相手の望まぬ結果になってしまった場合は傷つけられることもあるのか。自分で望んで店を訪れ、契約内容をしっかり確認して才能を交換したのに? 理不尽だなとおれは思うが、人間というのは醜いのだ、それくらいあって当然なのだろうか。
おれは足を踏み出す。「もっと」灯さんの声。おれはさらに近づいていく。「オーケー、そのまま」灯さんの声。彼に指示された位置で、お
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