第3章 リーザス陥落
第110話 魔王の元へ
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眼を、彼に、目を覚まさせて頂きましたから」
アイゼルは頬に触れた。赤く染まっているその右頬。現場は目撃はしていないが、ユーリにやられたのだと言う事は志津香も判った。
「………そう。じゃあね」
「ええ。……ご武運を祈ります」
「魔人側に言われてもね。……間に合ってるわ」
「ふふ。そう、でしょうね。貴女ならそう言うと思ってました。……では」
アイゼルは、その場から姿を消した。
気配が無くなったのを感じ取ったのだろう、志津香の直ぐ後ろにかなみが降り立った。
「もう……、無茶しないでよ。志津香。心臓に悪い……」
「ええ、ごめんなさい。……アイツとはちょっと話がしたかったから」
本当は、志津香とかなみの2人で引き返していたのだ。
ユーリがいなくなっていた事にいち早く気付いたのは2人であり、この塔は制圧した為、比較的動きやすかったと言う理由も当然ある。万が一に備えて周囲の警戒はしていて、そこで見つけたのがユーリと、……アイゼルだった。
「……志津香は以前助けてもらった事があるって言ってたけど、アイゼルって本当は……」
かなみは、志津香と一緒にユーリと話している所も見ている。気配を上手く殺し、アイゼルとユーリに気付かれないギリギリの所で見ていたから。その話を訊いて、志津香とのやり取りも聞いて、かなみにはアイゼルに思う所があったのだが、最後まで言う前に志津香に泊められた。
「それ以上言わないで、かなみ。……アイゼルは沢山の人間を、リーザスの兵士達を殺してるんだから。解放軍の皆も。……安易に心を許していい相手じゃないわ」
「ご、ごめん……。そうよね。……簡単に信じられる程の関係じゃない。魔人は魔人。……リーザスの……人類の、敵なんだから」
かなみは 力を入れ直した。
それを見た志津香は少しだけ笑うと、かなみの肩を叩く。
「さ、勝手な行動を、何にも言わずに1人で戻った馬鹿に文句言いに行くわよ?」
「あ、……うんっ」
かなみと志津香は歩き出した。
この時、2人は話題には出さなかったが確かに訊いていた。
《ホーネット》と言う名を。
魔人ホーネット。
知っているのは名と数ある魔人の中でもトップの力を持つ最強に近い魔人であると言う事。殆ど知らないも同然なのだが、その名を出した時のユーリの顔ははっきりと見た。見たからこそ―――特に志津香は、この戦いが終わった後、問い詰めよう、と心に決めたのだった。
そして 全員が合流した。
ユーリはそれなりにお叱りを受けた様だが、今はそれどころではない、と言う理由で深く長くの追及は無かった。
ほぼ制圧したと言って良い状況ではあるが、所々に洗脳されている者はいた。術者を倒せ
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