暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第110話 魔王の元へ
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飛び散った溶岩が空中で氷結し、落下する程空間を包み込む。大きな溶岩の塊は志津香の氷柱地獄で瞬時に冷却。その隣でシィルが中級魔法であるスノーレーザーを放つ。志津香の魔法と合わさり、瞬く間に凍結させる。後は初級魔法を使える者全員で小さく飛散した的を狙った。

 何度か試さないと厳しい、と想定していたが まさかの一回で全てを成功させた。

 
「想像以上の出来、だな。流石だ。だが、ここの修理費だけは請求しないでくれよ?」
「……ま、借りが大きいからね。後でヘルマンにでも請求しようかしら?」

 ユーリは剣を鞘に収めた。リアは必要だったとはいえ、かなりの経費を掛けた仕掛けをあっという間にダメにされてしまった事の尻拭いをヘルマンに、と口にする。それを聞いたトーマは前に出た。

「……如何なる償いはする所存じゃ」
「まー、それ位はしてもらわないとねー ……でも、本国からの援軍とか全然来てくれてないんじゃないの? ヘルマンも今内政がボロボロみたいだし。正直、できるとは思ってないから」
「………」

 だが、リアは判っていた、と言わんばかりにそう答える。
 ヘルマンの内政については諜報活動を通じて、それなりに把握をしている様だから。

「今はヘルマンもリーザスも無い。……アレを野放しにすればすべてが終わりを告げる」
「勿論。そこも判ってるつもりよ。だから、ダーリンやユーリさんに支援は惜しまないつもりだから」

 リアがランス以外の者を信頼する様に見るのは 多分身内を除けばユーリだけだろう。
 それが直ぐに判る会話だった。


「さっさと進むぞ。暑苦しかったのが突然寒くなって最悪だ!」
「なら、溶岩の中を泳ぐ方が良かった? 氷、解除する?」
「誰が泳ぐか!」



 そして、その先には 大量のライカンスロープが控えていた……が。

『斬られたい者は前に出ろ』

 と言うユーリの威圧。殺気をモロに浴びた。他のリックや清十郎、トーマの戦力を目の当たりにし、100回戦っても勝てないと悟ったライカンスロープは戦意を喪失。
 先程の溶岩の様に左右に分かれて道が出来――その先に大きな影があった。


「……ユーリ」


 巨大なガーディアンが2体、そして 鞭を携えた魔人の姿。

「サテラ」

 ノス以外にも待ち構えている者が、魔人がいたのだ。
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