334部分:第二十五話 キャンプファイアーその六
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第二十五話 キャンプファイアーその六
「それでもな。ひょっとしたら」
「じゃあつきぴーはお寺の奥さん」
「だからどうしてそうなるんだよ」
「つきぴーはそれでいいの」
椎名はここでは陽太郎を一旦無視して月美に尋ねた。彼女はずっと陽太郎の傍にいる。そこで無言で立っていたのである。その彼女にだった。
「それで」
「私はそれで」
「そう、それでいい」
こう月美に話す。
「だって斉宮がそうなるから」
「陽太郎君がそうなるから」
「そう。だから」
また話す椎名だった。
「それでいい」
「ううん、そうなの」
「斉宮に合わせるタイプだし」
「それはやっぱり」
月美の性格をよくわかっていた。そうしての言葉だった。
「そうしないと」
「そう。だから」
「俺がお寺の坊さんになるのはいいのか?」
「なればいい」
陽太郎には素っ気ない返答だった。
「好きにすればいい」
「それだけかよ」
「そう、それだけ」
やはり素っ気ない、愛想も何もない返答である。だがそれはあえてしていた。彼女の照れ隠しとそして気遣い故の言葉なのである。
「向いてると思うし」
「向いてるか?俺が坊さんに」
「頭剃らないで済むのよね」
「ああ、その宗派はな」
それはいけるというのである。最近の日本の仏教は宗派によって頭を剃らなくてもいいのだ。勿論剃らなければいけない宗派も存在する。
「それは自由なんだよ」
「じゃあそれでいい。斉宮は禿げないし」
「おっ、それ本当か?」
「うん、禿げない」
そうだというのである。
「禿げないから」
「だったらいいけれどな」
「禿は男にとって最も恐ろしい恐怖ね」
「信じられないまでの恐怖だよ」
「その通りだよ」
陽太郎だけでなくだ。狭山もここで力説してきた。
「男で一番怖いよ、それはよ」
「僕もそう思うね」
赤瀬も参戦してきた。
「禿るっていうのは。怖いよ」
「前から来るか天辺から来るか」
「それともつむじから来るかな」
「生え際からエムの字で来るのもあるし」
禿げ方もそれぞれである。バラエティに富んでいると言える。
「どれも怖いよな」
「ああ、禿げたら人生の殆どが終わりだよ」
「恐怖だよね」
「それはわかる」
椎名もこのことは充分わかっていた。やはり天才軍師だった。
「けれど三人共薄毛にはなっても禿げはしない」
「そうなのか」
陽太郎はそれを聞いて述べた。安心した顔になっている。
「薄くなっても禿はか」
「ないから。ただし薄くなる可能性はある」
それはあるというのだった。
「それは注意しておいて」
「わかったよ。ケアは大事ってことだな」
「頭皮のマッサージに洗った泡もじっくりと落とす」
頭の洗い方の話もした。
「とに
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