魔竜の強襲
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なら許しがたい愚行なのだ。
「確かにそうだが、このままティオスを生かして置くわけにはいかないだろ」
「奴は陛下すらもその手に掛けうる存在だ」
真っ向から対立する両者の意見。一触即発の雰囲気・・・それを打破したのは、意外な人物だった。
「メンドくさい・・・」
そう呟いた声に全員が反応した。そこにはうんざりしたような目で仲間たちを見据えるブランディッシュがいた。
彼女は蔑むような目付きで全員を一瞥すると、どこかへと歩き出す。
「どこに行くんだ?ランディ」
彼女がどこに向かおうとしているのか、ディマリアが声をかける。すると、彼女は背を向けたまま立ち止まり、答える。
「やり残したことがあるの。借りを返さないと、私は先に進めない」
そう言って振り返ったブランディッシュは、今にも戦いを始めそうになっているディマリアたちに自分の考えを述べた。
「私はアルバレスの人間。今さらフィオーレに付くことはないわ」
「ランディ・・・」
彼女もワールたちと同じ考えなのかと残念そうにしているディマリアだったが、話しはそこで終わりではなかった。
「ただ、ティオスはアルバレスの人間ではないはずよ」
かつてアルバレス帝国に攻め入り、ゼレフが来たことで何とか収まったティオスと天海。彼らはスプリガン16に名前こそ連ねているが、ゼレフの味方をするわけでもなく、個人で戦っている。
「私は妖精の尻尾の子に借りがある。それを返さなきゃいけないの」
ルーシィに命を救われ、母の死の真実も知ることができたブランディッシュは、彼女にこの時だけ付くことを決意した。
「ティオスのことは陛下も警戒していたわ。だから温厚な彼があの子にだけ常に厳しく当たっていた」
何を目的にしているのか見せないティオス。彼だけは自由にさせられないとゼレフは彼にだけ厳しい態度を取ってきた。つまり、彼はフィオーレだけでなく、アルバレスにとっても脅威と言えるのだ。
「あなたたちがどうするかは自由よ。そしてそれは、私も一緒」
そのまま背を向けてその場を後にしたブランディッシュ。残された16のメンバーたちは、お互いの顔を見合わせて立ち尽くすことしかできなかった。
今いるだけでも十分な戦力が揃っていると言っても過言ではないカミューニたち。それに対するは片腕を奪われたことで満足に立っていることもできないティオスただ一人。
「終わったな、ティオス」
「降参するなら命までは取らんぞ?」
これまでの彼の行動を見れば許しがたい行為だが、それも彼なりの信念があってのこと。そうとなれば無闇に命を奪うようなこと
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