彼と彼女の出会い 後編
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は──と考えてふと視線を外すと、ミラー越しの男性の冷たい視線が「飲め」と言っているように見えた。
口を付け、飲み物を煽る。爽やかな葡萄の味を感じたが、途中で「これって所謂間接キス……!?」という思考に陥ってからは奏輝はジュースの味さえも感じることが出来なくなっていた。
「どうだった? 美味しかった?」
「あ、うん……美味しかったよ」
「よかったぁ!」
まるで自分が褒められたかのように笑顔になる少女。そこから他愛ない会話をしていき、数分が過ぎたところで
「うぅん……」
少女は眠そうに目を擦っていた。はしゃぎすぎたのだろうか、既に半分寝て半分起きているような状態だ。
「寝て大丈夫だよ。着いたら起こすから」
「でも……もっとお話したい……」
しかし、少女は睡魔に打ち勝つことが出来ず、その言葉を最後に眠りについてしまった。
──と言った俺も眠い……
奏輝も睡魔に襲われて寝てしまった。最後に聞こえたのは
「────計画通り」
無機質な、感情の籠っていない冷たさを感じる声だった。
────────────
奏輝は謎の衝撃で目を覚ました。反射的に声を出そうとしたところで口が何かに押さえつけられているようで、でなかった。
──ガムテープ? それに、腕と、足にロープなのかな。
予想できていたからか冷静に事態を飲み込んで分析する。体は動かすことが出来ないため先ずは自分を拘束しているロープをどうしようかと──
力を入れたらロープがほどけた、それも腕と足同時に。
──いや、そこを雑にしたらダメじゃ……
脳内で誘拐犯にツッコミを入れて口を押さえていたガムテープを剥がす。
隣を見てみると少女は穏やかな寝顔でいまだに夢の世界へ旅立っている。目覚める前に状況確認をしようと奏輝は部屋を見渡す。
「扉は一つだけ、当然……」
奏輝は静かに聞き耳を立てる。外側から数人の声と先程の男性の脅すような声が耳に届いた。
次に部屋の中にあるモノを見渡すとボロボロの机が一台、椅子が一脚、そして半壊した本棚のみ。だが、上の方を見上げると子供が入れそうな通気孔を見付けた。
「……いや、流石に子供を舐めてる……」
試しに椅子を運び、ジャンプすると通気孔に普通に届いた。だが、柵に阻まれてしまう。これが少女だけだったら届かず、外せずだっただろう。
「よし、起こそう」
奏輝は少女を揺すって起こす。すると少女は目を覚ましたが、直ぐに「んー! んー!」と目を見開いて暴れ始めた。
「大丈夫、大丈夫だよ。君を必ず助けるから」
宥めるように、奏輝は頭を撫でて少女を落ち着かせる。口に人差し指を当てて奏輝は真剣な顔で少女に話しかける。
「ガムテープを外
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