00.K猫と白猫
第一章
Phase.01
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遠くで鐘が鳴った。
その中に、薄暗い廊下の、赤い絨毯の上を走って通り過ぎる足音が、混じって聞こえてくる。白い髪が揺れ、汗が弾ける。黒い外套がバサバサと音を立ててはためく。
そして―――
「琴葉さん!」
ドアを思いっきり開け、その部屋に転がるように飛び込む。
琴葉さん≠ニ呼ばれた、この部屋の主である人物は、その声を聞いて椅子を半回転させ、顔をこちらに向ける。そして、ニヤリと悪巧みをしたような笑みを浮かべて、声を出す。
「おうおう、お疲れ様だね。少年。日々の頑張りに免じて、ノックなしプラス大きな音を立ててドアを開けやがった事は許してやろう。で、どんな用件だい?」
なんですかそのキャラは、と一つ突っ込みを入れてから、部屋に飛び込んだ少年はゆっくりと息を吐く。矢っ張り面倒くさいな、この人は、と思ったのは仕方ない事だ。
「あのですね、勝手に会議をサボらないでくださいよ! 次の仕事の作戦案を発表する、結構大事な会議だったんですよ! それに、今回は僕が考えた作戦案だったのに」
少年は頬を膨らませ、ぷりぷりという効果音が付きそうな感じで、琴葉を叱る。対して、琴葉は膝の上に乗っている、黒い毛に、金色の瞳をした猫を撫でている。
「まぁまぁ、そう怒らないで、レン」
「怒る原因を作ったのは琴葉さんですよ!」
少年・如月レンは、声を荒げる。すると、琴葉の元から猫が逃げてしまい、あーあと琴葉が呟く。それを聞いたレンに生まれる罪悪感。それを感じ取ってか、琴葉は、
「悪いと思っているのなら静かにしてくれる?」
とレンに言った。
シュンと肩を竦め、眉を顰めるレン。それを見て、琴葉は「冗談よ」と言う。
一気に明るくなるレンの顔を見て、琴葉は薄く微笑した後、椅子を立ち、逃げた猫を探して抱き上げる。
「レンの作戦案はいつも完璧だから大丈夫。首領にもオーケーされたでしょう? 君のことは心配してないから大丈夫」
レンは頬を赤く染め、満面の笑みを浮かべる。とても嬉しい様だった。
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