暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
酒保の秘密
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が不審な点を見つけた収支報告書だ。

「この収支報告書な、途中までは小数点以下までキッチリ書かれてたんだが……ある時を境に書き方が変わって小数点以下まで書かれなくなってんだよ」

 例えば艦娘の機関の燃料となる重油。遠征の報告書等では獲得した重油を幾つ、と記入するがこの時の1単位はガロンで統一されている。

「このガロンって単位が曲者でな。1ガロンは約3.8リットル……ちょいと中途半端なんだよな。それに、資源採掘現場じゃあ容器に詰める時に少し上乗せして詰めて寄越す事になってる」

 これは瓶詰めされた酒なんかにもよくある話で、実はラベルに書いてある容量よりも数ml多くいれてあるんだ。多い分には文句を言われる事はほぼ無いし、周りと比べて少なくても規定の量はクリアしておく必要がある為だ。

「大淀の奴は細かくてなぁ。余剰分なんぞ言ってみれば向こうのサービスなんだからそのままにしとけ、っつったんだが細かく解りやすい単位に直して報告書を上げてたんだよなぁ……しばらく前までは」

 ちょうど報告書の書き方が変化し始めたのが、例の『A&Oリソース』から金が振り込まれるようになった辺りからだ。これが関係ないと言われても、ハイそうですかと信じられる程、俺も馬鹿正直な脳味噌はしていない。

「この際だからハッキリ言おうか、明石。お前……大淀と組んで余剰資材の横流ししてんだろ」

 ビクリ、と身体が僅かに反応した。ビンゴか。

「A&Oの名前を見てピンと来たぜ。明石と大淀でA&Oは安直すぎるだろ、いくらなんでも」

「はぁ……そこまでバレたんですか。なら隠しておく必要性は無いですね」

 漸く、明石も喋る気になったらしい。





「最初は、大本営経理部主導の互助会のような形でした。お互いにお互いの鎮守府に余っている資材を融通し合って、円滑な艦隊運営が出来るように……と」

「成る程、それで発注してから暫く時間が掛かるシステムだったのか」

「えぇ、まぁ。提督さん達に購入してもらった資金を財源にして、倉庫の手配や護衛艦隊の手配なんかもしてました」

 横領などをするつもりはハナから無く、あくまでも互いに互いの鎮守府の不足を補う目的だそうだ。

「まぁ、今や規模の大小を考えなければ鎮守府の数も万を超えるからな……塵も積もれば、って奴か」

 昔、某アニメのテロリストが軍資金集めの為に同じような事をやってた気がするぜ……確か、アニメ内だとネットバンキングのやり取りで発生する一円以下の金を日本中からかき集めて、一日に数百万〜数千万の金が生まれるようなシステムを構築してたっけ。しかし、良くできたシステムだ。

「ま、横領なんて変な気は起こすなよ」

「……え、それだけですか?」

「当たり前だろ?
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