酒保の秘密
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そう言いながら、スプーンで掬って口に放り込む。んー、ちべたい。そして口の中に広がるベリーの酸味。我ながら良くできてると自信を持って言える味だ。
明石を追い詰める為に俺が採った手。それは、
『明石の目の前でオヤツを食べる』
それだけ。それだけなんだが、これがまた効果的なんだよな。今日のオヤツは俺特製のシャーベット。最近暑かったし、何より俺が食いたかったんでな。俺一人で食っても良かったんだが、より明石にダメージを与える為にたまたま執務室の前を通りかかっていた吹雪・白雪・磯波・深雪に援軍を頼んだってワケさ。
「それにしても、可哀想ですねぇ明石さん」
スプーンを咥えたまま吹雪が呟く。
「なんでよ?」
「意地張らないで喋っちゃえばいいのに、喋らないからですよ」
吹雪の言う事にも一理ある。いずれ決算報告書等をチェックしていれば、遅かれ早かれ露呈していた事だ。それがたまたま今日だっただけなのに、何故こうも頑ななのか?それは、明石の役割がかなり重要な部分を担っているからだろう。
「じゃあ司令官、ごっそさん!」
満面の笑みで深雪を先頭に吹雪達が去っていく。それでもなお、明石はだんまりを決め込んだままだ。ふぅ……と一度溜め息を吐き出し、明石に掛けていた手錠を外して向かい合うように椅子に腰掛ける。
「なぁ明石、ちょいと世間話をしようじゃないか。……まぁ、俺が勝手に話すから反応するなり無視するなり好きにしな」
そうして俺はポツポツと、明石の隠し事に関する推論を述べ始めた。
「なぁ明石、俺ぁ昔から疑問だったんだよ。明石の酒保で提督のみが受けられるサービス……『資源の購入サービス』って奴がよ」
明石の酒保では、資源を買う事が出来る。燃料・弾薬・鋼材・ボーキサイトは元より、装備の開発や建造に使う開発資材や高速修復剤、高速建造材等の艦隊運営に必要な様々な資源を、提督のポケットマネーから購入する事が出来る。まぁ、俺は使った事がねぇがな。
「ある時、俺はふと考えた。『資源購入サービスの仕入れは何処からやってるんだ?』ってな」
運営用の資源を集める手段は主に3つ。大本営からの定期補給か、任務達成の報酬として大本営からの支給か、自ら遠征を組んでかき集めるかだ。大本営も専用の油田や鉱山を確保して定期補給や任務の達成報酬に使っているらしいが、定期補給は資源の少ない新米か資源の枯渇した貧乏鎮守府に優先的に回されるし、任務達成の報酬として配られる資源の量も膨大だ。とてもじゃないが明石の酒保で販売できる程の量が確保できるとは到底思えない。となると、別の資源獲得方法が在ると見るのが普通だ。
「そこで出てくるのがコレよ」
俺はそう言って紙の束を振って見せた。さっき俺
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