巻ノ百四十六 薩摩入りその九
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「よいな、年が変わるまでにな」
「はい、駿府にですな」
「行きますな」
「そうしますな」
「後藤殿のところに参る」
まずはというのだ。
「そしてじゃ」
「そうしてですな」
「後藤殿と合流し」
「そしてですな」
「そのうえで駿府に向かう」
「そうしますな」
「うむ」
その通りだとだ、幸村は答えた。
そしてだ、十勇士達にこうも言った。
「全ては後藤殿次第、それでじゃ」
「我等のうちの誰かがですな」
「後藤殿のところに向かい」
「そして右大臣様と我等が健在なことをお知らせし」
「そのうえで」
「後藤殿のお怪我のことも聞くのじゃ」
それもというのだ。
「そして完治された時にな」
「後藤殿がよしと言われれば」
「まさにその時にですな」
「大和で後藤殿と合流され」
「そのうえで」
「駿府に向かう、後藤殿は大和の大宇陀におられる」
幸村は既に後藤がいる場所もわかっていた。
「あの地にな」
「大宇陀ですか」
「確か長谷寺の東でしたな」
「伊勢に向かう道の途中ですな」
「そこに後藤殿がおられますか」
「今は」
「そうじゃ、だからじゃ」
その駿府にというのだ。
「だからな」
「はい、今からですな」
「我等のうちの誰かが向かい」
「そしてですな」
「我等のこともお話しますな」
「後藤殿のお身体のこともお聞きして」
「そうする、問題は誰に行ってもらうかじゃが」
幸村はここで十勇士を見た、屋敷で寝食を共にしている彼等を。だがここで彼等とは別の者が名乗りを挙げた。
「それはそれがしが」
「お主がか」
「はい、行って参りまする」
大助だった、名乗りを挙げたのは彼だったのだ。
「これより」
「そうしてくれるか」
「宜しいでしょうか」
「脚の怪我はもうよいな」
「山を駆けられるまでに」
実際にという返事だった。
「無事になりました」
「そうか、ならな」
「はい、大和にですな」
「行くがいい」
こう大助に告げた。
「よいな」
「今にでもですな」
「今すぐに発てるか」
「はい」
これが大助の返事だった。
「父上のお言葉があれば」
「わかった、では真田道を使いじゃ」
そうしてというのだ。
「そのうえでじゃ」
「大和の大宇陀に向かい」
「後藤殿に全てをお話せよ」
「そして後藤殿のこともですな」
「お聞きせよ、わかったな」
「さすれば」
大助も頷いて応えた、そしてだった。
大助はすぐに姿を消した、幸村はその大助がこれまでいた場所を見てそのうえで十勇士達に対して話した。
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