第二章
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街の片隅でジャム職人そして花屋として暮らしている彼女の店にみすぼらしい、物乞いの様な姿の旅人が二人来た。しかもだ。
その旅人達の顔は腐り髪の毛も乱れていた、街の人々はフードに隠れているが見えるその姿に眉を顰めさせた。
「おい、疫病か?」
「そうじゃないのか?」
「身体が腐っているぞ」
「あの旅人達やばいぞ」
「近寄らない方がいいな」
「そうだな」
街の者達はこう言って旅人達を避けた、そしてその二人は。
デルタの店に入った、するとデルタは二人に笑顔で言った。
「何か御用でしょうか」
「はい、実は」
「我等は旅の者なのですが」
二人はデルタに弱々しい声で話した。
「旅の途中で病にかかり」
「そして金もなくです」
その弱々しい声で話すのだった。
「恵みを頂きたいと思い」
「この街に来たのですが」
「お恵みを下さい」
「何か頂けるでしょうか」
「はい、お身体が悪いなら」
それならとだ、デルタはすぐにだった。
店にあるものからすぐにある薬草を出して二人に渡した。
「これをどうぞ」
「薬草ですか」
「これをですか」
「お金はいりません」
旅人達ににこりと笑って言うのだった。
「ですから」
「この薬草で、ですか」
「この病をですか」
「治して下さい、その病は私も知っています」
このことも言うデルタだった。
「それでこのお店にも用意しています」
「ですがこれは」
「お店の品では」
「それを渡すなどとは」
「お金がなくとも」
「こうした時はお互い様です」
デルタは旅人達に温和な笑顔で応えた。
「ですから」
「ここはか」
「いいのか」
「この薬草で治して下さい、そして」
デルタは二人の旅人に薬草だけでなくだ、あるものも差し出した。それは一体何かというと。
ブルーベリー、彼女の大好物のそれだった。それも旅人達に出してそうして彼等にこう言ったのだった。
「こちらは栄養に」
「ブルーベリー、それもか」
「我々に渡してくれるか」
「はい、とても栄養があってしかも美味しいですよ」
だからだというのだ。
「ですから」
「ブルーベリーもくれるのか」
「そうしてくれるのか」
「どうぞ」
ブルーベリーも笑顔で差し出してくれた、そしてだった。
旅人達はデルタから薬草だけでなくブルーベリーも受け取った。するとデルタに深々と頭を下げてだった。
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