進軍〜自由惑星同盟〜
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
宇宙歴792年、帝国歴483年4月。
第八艦隊は惑星ハイネセンを出港した。
第四艦隊と第五艦隊は既に出港しており、イゼルローン要塞に近いアスターテ星域で三艦隊は合流することになっている。一部では帝国側にばれた場合には各個撃破の危険性が懸念されていたが、上層部は各個撃破よりも、帝国に準備の時間を与えることを嫌った。
最終的には総司令官であるシドニー・シトレ大将がアスターテ星域での合流を決断し、第八艦隊はまっすぐに、第四艦隊はシヴァ星域方面から、第五艦隊は逆側であるブリューベン星域を経由して、最終的には誤差はあれども、四月の二十日前後にアスターテ星域で合流する予定となっている。準備を考えれば、五月上旬が戦場となるのが概ねの意見であり、報道に対する発表もその時期で計画が立てられている。
秘密保持の関係から、知るものも少なく、第八艦隊の出港に対する見送りは寂しいものだ。
兵の多くは辺境警備に向かうものと思っており、イゼルローンの攻略を全員が知ることになるのは合流間近になるだろう。
家族との最後の別れになるものも少なくはない。
最後の晩餐すら許されないことの方が多いのが現実であった。
だからこそ。
各艦隊は旗艦の命の元で、恒星から恒星へと順次ワープ航法を行っていく。
光に包まれ一瞬で消える最後の瞬間まで、兵は窓からハイネセンを見続け、それに対して普段は厳しい下士官も、注意することはなかった。
+ + +
宇宙歴792年、帝国歴483年4月23日。
予定よりも三日ほど遅れて、第四艦隊が合流し、三艦隊はアスターテ星域に集まった。
この時点において、兵たちは全員がイゼルローン要塞攻略を聞かされ、気の早い兵の幾人かは家族にあてた手紙を書き、家族へのメッセージ通信が許されることになる。
超光速通信であっても、アスターテ星域とハイネセンでは距離がありすぎる。アスターテからハイネセンへ向けた通信がこの時点で帝国に流れたとしても、帝国からイゼルローン要塞に伝わるよりも早く攻略戦に突入する方が早いからだった。
多くの言葉と同時に、艦隊司令官もまたアスターテ星域からハイネセンに対して、無事に到着した旨とこれより第五次イゼルローン要塞攻略戦を実行する旨が伝達された。
ハイネセンからの返信を受け取るのは、おそらくイゼルローン攻略戦が本格的に始まる直前であろう。基本的には回答は出撃前に決まっているはずなのであるが、過去には戦闘前に政権交代が起こり、急遽作戦変更が余儀なくされ、艦隊に大きな被害を出した例があったという。大きな戦争は政権交代前に行われるというのは、単に政権の支持率のためであるのかもしれないが、軍自身も政権交代直後に戦いが始まるというのは避けたいのが実情であったかもしれなか
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ